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狂立
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くるひた
其の
苔蒸す
欄干を
葉がくれに、
桁を
蔦蔓で
埋めたのが、
前途に
目を
遮るのに、
橋の
彼方には、
大磐石に
堰かれて、
急流と
奔湍と、
左より
颯と
打ち、
右より
摚と
潜り、
真中に
狂立つて
其の
犬どもの、
耳には
火を
立て、
牙には
火を
齒み、
焔を
吹き、
黒煙を
尾に
倦いて、
車とも
言はず、
人とも
言はず、
炎に
搦んで、
躍上り、
飛蒐り、
狂立つて
地獄の
形相を
顯したであらう