モノ)” の例文
人間の形代なるハラへのモノは、少々意味が変つて居る。別の物に代理させると言ふ考へで、道教の影響が這入つて居るのである。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
出稼人デカセギニン根性コンジョウヤメヨ。フクロカツイデ見事ミゴト帰郷キキョウ被告ヒコクタル酷烈コクレツ自意識ジイシキダマスナ。ワレコソ苦悩者クノウシャ刺青イレズミカクシタ聖僧セイソウ。オ辞儀ジギサセタイ校長コウチョウサン。「ハナシ編輯長ヘンシュウチョウチタイモノワラワレマイ努力ドリョク
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
是に其兄、弟の得つる事を、うれつみて、其宇礼豆玖ウレヅクモノを償わず。
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)
溯つて考へれば、ひゝなの一つのモノであつた。謂はゞほかゐの様なものから次第に発達して、遂に内裏ダイリの様な形にまで、変つて来たのだと思ふ。
此作り物は、大嘗祭に牽いた「ヘウヤマ」と同じ物で、屋外の「モノ」を座敷にうつしただけである。
まれびとの歴史 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
穢れを移す人形とは即、モノ形代カタシロ天児アマガツなどの名によつて呼ばれるものである。なる程、かう説明すると、上巳の節供と雛人形との関係、延いては淡島との聯絡もつかう。
雛祭りの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
勿論、平安朝頃の上流の女たちの玩び物にはモノ形代カタシロ天児アマガツなどいふ名で呼ばれた人形はあつたのであらうが、祓除の穢れを移す人形を、其儘、玩具にしたとはいへない。
雛祭りの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ものは物成モノナリなどのものと同様、農産の義と見えるが、或は漠然とした表し方で、王朝以来の慣用発想なる某——「モノ」なる観念に入れて、運勢をものと言うたのかも知れない。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
古代の皇后は、その常に、聖事として、清き水と、清き水を以て天子の大御身を清める行事と、清き水の聖事をとり行ふ時のモノに関することは、躬らお行ひにならねばならなかつた。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
祭り日の市場イチには、村人たちは沢山の供へ物を用意して、山の神の群行或は山姥の里降りを待ち構へた。山の神・山姥の舞踊アソビモノや、身につけたかづら・かざしが、神上げの際には分けられた。
山のことぶれ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)