牛車ぎゅうしゃ)” の例文
そんなことをしているあいだに、かねをのせた牛車ぎゅうしゃはもうしんたのむねをおりてしまっていた。五ねん以上いじょうものは、がせいてたまらなかった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
昔、井戸を掘ると、の下にいぬにわとりの鳴く、人声、牛車ぎゅうしゃきしる音などが聞えたという話があります。それに似ておりますな。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
広々ひろびろとした、田園でんえんのぞみ、豊穣ほうじょう穀物こくもつあいだはたら男女だんじょれを想像そうぞうし、嬉々ききとして、牛車ぎゅうしゃや、うまあと子供こどもらの姿すがたえがいたのであります。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうしてこの町をひいていく、馬力ばりき牛車ぎゅうしゃがどんなに長くつづいているのだろう。こんなたくさんの車や人が、どこからこうして出てくるのだろう。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
とはるかに、ガラガラと戸をあける音や、人声のザワめきや、また牛車ぎゅうしゃわだちとりの声など、夜明けを知らせる雑音ざつおんが、りまじって、かすかに聞えだしてきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鐘供養かねくようがすんで、庭師にわしやすさんたちが、またごんごろがねりあげると、そのした和太郎わたろうさんが牛車ぎゅうしゃをひきこんで、うまいぐあいに、牛車ぎゅうしゃうえにのせた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
じょうじょうへ花売りにでる大原女おはらめが、散りこぼしていったのであろう、道のところどころに、連翹れんぎょうの花や、白桃しろもも小枝こえだが、牛車ぎゅうしゃのわだちにもひかれずに、おちている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和太郎わたろうさんが牛車ぎゅうしゃをひいてたとき、きゅうに庵主あんじゅさんが、鐘供養かねくようをしたいといいした。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「こりゃ、おれの罪じゃない。おりというやつは、ゆすられるとふえるもんだ。牛車ぎゅうしゃでごとごとゆすられてくるうちに、ふえたんだ。それに、このぬくとい陽気だから、よけいふえたんだ」
和太郎さんと牛 (新字新仮名) / 新美南吉(著)