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ぶれう
ふりがな文庫
“
無聊
(
ぶれう
)” の例文
ミラノの客舍の
無聊
(
ぶれう
)
は日にけにまさり行きて、市長の家族も、親友と稱せしポツジヨも我書に答ふることなかりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それでもなほたつた一人の
無聊
(
ぶれう
)
さに——ある時はそれが無上にやすらかで嬉しかつたけれど——歩きなれた廊下をぶらりぶらりとあてもなく私は病室を出かけて行く。
嘘をつく日
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
或
(
ある
)
ときも
無聊
(
ぶれう
)
に
苦
(
くる
)
しんでゐた
折
(
おり
)
、
誰
(
たれ
)
かを
訪問
(
ほうもん
)
しようかと
言
(
い
)
ひ
合
(
あ
)
つてゐるときS、H
氏
(
し
)
の
名
(
な
)
が
出
(
で
)
た。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし、かう云つたからと云つて、決して先生が
無聊
(
ぶれう
)
に苦しんでゐると云ふ訳ではない。
手巾
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かうして、又してもたうとう生気のない
無聊
(
ぶれう
)
が来た。さうしてそれが幾日もつづいた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
▼ もっと見る
そして、その
無聊
(
ぶれう
)
の感に湧き立つ若い血が、春雄の繃帶の取れた跡の青い顏にほとばしつたのを見て、義雄も亦、自分の深い胸の奧に於いては、溜らないほどの競爭心をふり起した。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
が、詰り私は、身体は一時間も暇が無い程急がしいが、為る事成す事思ふ壺に篏つて、鏡の様に凪いだ海を十日も二十日も航海する様なので、何日しか
精神
(
こころ
)
が此
無聊
(
ぶれう
)
に倦んで来たのだ。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
果
(
は
)
ては
無聊
(
ぶれう
)
に
堪
(
た
)
え
兼
(
か
)
ねて
頻
(
しき
)
りに
腕
(
うで
)
をさすつて
居
(
ゐ
)
たが、
其内
(
そのうち
)
に
夕刻
(
ゆふこく
)
にもなると、
此
(
この
)
時刻
(
じこく
)
は
航海中
(
かうかいちう
)
、
軍艦乘組員
(
ぐんかんのりくみゐん
)
の
最
(
もつと
)
も
樂
(
たの
)
しき
時
(
とき
)
、
公務
(
こうむ
)
の
餘暇
(
よか
)
ある
夥多
(
あまた
)
の
士官
(
しくわん
)
水兵
(
すいへい
)
は、
空
(
そら
)
高
(
たか
)
く、
浪
(
なみ
)
青
(
あを
)
き
後部甲板
(
こうぶかんぱん
)
に
集
(
あつま
)
つて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
聖
(
サン
)
アントニウス寺の七穹窿は、恰も好し月光に耀けり。柱列の間には行人
絡繹
(
らくえき
)
として、そのさまいと樂しげなれども、われは獨り心の
無聊
(
ぶれう
)
に堪へざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
義雄はまだ鑵詰の事業の手初めも出來ないのが、
無聊
(
ぶれう
)
の感に堪へなかつた。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
永
(
なが
)
の航海で、
無聊
(
ぶれう
)
に苦んでゐたと云ふ事もあるのですが、当の砲術長はもとより、私たち総出で、事業服のまま、下は機関室から上は砲塔まで、さがして歩く——一通りの混雑ではありません。
猿
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
田舎の
素封家
(
ものもち
)
などにはよくある事で、何も珍しい事のない単調な家庭では、腹立しくなるまで無理に客を引き留める、客を
待遇
(
もてな
)
さうとするよりは、寧ろそれによつて自分らの
無聊
(
ぶれう
)
を慰めようとする。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
聊
漢検1級
部首:⽿
11画
“無聊”で始まる語句
無聊頼
無聊至極