烈々れつれつ)” の例文
焚木たきぎとしてこれほどのものはなかろう。烈々れつれつとして燃えかすひとつ残らないという。河畔かはんの貧しい生活者にもこうした天与の恩恵はある。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
寂然じゃくぜんとした湖、林には鳥の声もきかず、ただ、烈々れつれつたる友情を乗せて水をかくかいの音が、さびしくひびくばかりである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
烈々れつれつたる太陽は灼けつくように代志子坊やを照らしていた。彼女はこれからどっちの方へ匍ってゆこうかと考えているようであったが、それまではまあよかった。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
手負ながら、お嘉代の烈々れつれつたる気魄きはくが、その打ち湿しめった言葉のうちにも、聴く者の肺腑はいふえぐります。
が、この乳臭児は、ふたつの呆れ顔を前において、なお烈々れつれつ大語たいごしてやまなかった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かの烈々れつれつたる怨念おんねんの跡無く消ゆるとともに、一旦れにし愛慕の情は又泉のくらんやうに起りて、その胸にみなぎりぬ。苦からず、人き後の愛慕は、何の思かこれに似る者あらん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この世に生きることをやめた彼は書中の人物としてのみきていた。現実の生活ではふたたび開かれることのなくなった彼の口が、魯仲連ろちゅうれん舌端ぜったんを借りてはじめて烈々れつれつと火を噴くのである。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
かれは、しだいにふけていく、初秋しょしゅうよるそらあおぎました。金色きんいろに、緑色みどりいろに、うすくくれないに、無数むすうほしかがやいています。おそらく、どの一つにも烈々れつれつとして、ほのおがっているにちがいない。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一片のほのほ烈々れつれつとして、白くあがるものは宮の思の何か、黒く壊落くづれおつるものは宮が心の何か、彼は幾年いくとせかなしみと悔とは嬉くも今その人の手に在りながら、すげなきけふりと消えて跡無くなりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それに代って、駐仏日本大使館付武官ちゅうふつにっぽんたいしかんづきぶかん福士大尉ふくしたいい烈々れつれつたる気魄きはくが蘇って来た。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
烈々れつれつ鬱金うこんふるずゐの花。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
熱燗あつがんの酒は烈々れつれつくんじて、お静がふるふ手元より狭山が顫ふ湯呑に注がれぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
烈々れつれつ煉瓦れんぐわ火気くわき
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)