ずみ)” の例文
光線が太陽から地球迄届く時間を知っていれば豪いようだが、今飛んだずみの火の行方が分らずに、火事にはなりはしまいかと心配するようでは馬鹿気ている。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
べに製造業、紙すきなどから、朝鮮貿易と出かけ、帰って来て大阪で紀州ずみを売り、東京へ引っ越して来てまずガラス屋に雇われ、その次がくつ屋となってこうもり屋を兼ねたと言います。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かちんくにはらないよ、臺所だいどころ火消壺ひけしつぼからずみつてておまへ勝手かつていておべ、わたし今夜中こんやぢゆう一枚ひとつげねばならぬ、かど質屋しちや旦那だんなどのが御年始着ごねんしぎだからとてはりれば
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御馴染甲斐おなじみがい打寄うちよす冠詞まくらことば前席ぜんせきから。ギッシリ詰る大入おおいりは、誠に僥倖当まぐれあたずみ。俵の縁語に評さえよきを。例の若林先生が。火鉢にあらぬ得意おはこの速記に。演舌しゃべるが儘を書取られしが。写るに速きは消炭けしずみも。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)