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潸然
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さんぜん
ふりがな文庫
“
潸然
(
さんぜん
)” の例文
松陰の刑せらるるや、その絶命の
詞
(
ことば
)
、伝えて象山に到る。象山
潸然
(
さんぜん
)
として泣いて曰く、「義卿は事業に急なり、今やかくの如し」と。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
が、死相を帯びながら、瀕死の床に横はつてゐる瑠璃子を見ると、老いた男爵の眼からは、涙が、
潸然
(
さんぜん
)
としてはふり落ちた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
『市民の胸の感激にあふれて打ち
顫
(
ふる
)
え、市長閣下に対する感謝の涙
潸然
(
さんぜん
)
として
下
(
くだ
)
るを見るは誠にいじらしき限りなり。』
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
ああこれを思い、彼を想うて、
転
(
うた
)
た
潸然
(
さんぜん
)
たるのみ。ああいずれの日か
儂
(
のう
)
が素志を達するを得ん、ただ儂これを怨むのみ、これを悲しむのみ、ああ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
そして、これを日常のなかにもち来すと、こういう反省となって、私に永遠の花嫁としての涙を
潸然
(
さんぜん
)
と流させるの。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
雪子の口調は何処まで行っても同じように物静かであったが、妙子の眼にはいつの間にか涙が
潸然
(
さんぜん
)
と浮かんでいた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
箸の手を膝に落して、
潸然
(
さんぜん
)
と涙の下る瞳をとじていたが、またこう呟いて、諸臣の士気を戒めたということである。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
果してその言のごとくなったことを知った時、老聖人は
佇立瞑目
(
ちょりつめいもく
)
することしばし、やがて
潸然
(
さんぜん
)
として涙下った。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
博士のサナトリューム療院から退院するという日、柿丘は博士の足許にひれふして、
潸然
(
さんぜん
)
たる
泪
(
なみだ
)
のうちに、しばらくは面をあげることができないほどだった。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
綾子はまた膝を折りて端坐しつ、
潸然
(
さんぜん
)
と泣出だしぬ、たちまちきゃっと絶叫して、転げ廻りつ
苦
(
くるし
)
み
掙
(
もが
)
き
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
悲喜哀楽うたた相生じ、ときとしては
唖然
(
あぜん
)
口を開きて大笑し、ときとしては
潸然
(
さんぜん
)
目をしばたたきて悲しむ。花を見ては美なりと呼び、音楽を聞きては快なりと感ず。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
雪江さんは
言
(
げん
)
ここに至って感に
堪
(
た
)
えざるもののごとく、
潸然
(
さんぜん
)
として
一掬
(
いっきく
)
の
涙
(
なんだ
)
を紫の
袴
(
はかま
)
の上に落した。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、死相を帯びながら、
瀕死
(
ひんし
)
の床に横わっている瑠璃子を見ると、老いた男爵の眼からは、涙が、
潸然
(
さんぜん
)
としてほうり落ちた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
市十郎は、総毛立ッた襟がみをつかまれながらも、両手を顔へやったまま、
潸然
(
さんぜん
)
と、泣き恥じていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何と……手に
剃刀
(
かみそり
)
を持たせながら、
臥床
(
ベッド
)
に
跪
(
ひざまず
)
いて、その胸に額を埋めて、ひしと
縋
(
すが
)
って、
潸然
(
さんぜん
)
として泣きながら、
微笑
(
ほほえ
)
みながら、身も世も忘れて愚に返ったように、だらしなく
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
潸然
(
さんぜん
)
と涙を流している……。
地は饒なり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
慚愧
(
ざんき
)
にたえぬもののように、両の手は、髪の根をつかんでいた。
潸然
(
さんぜん
)
として、無念の涙が頬をくだる。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
潸然
(
さんぜん
)
として
溢
(
こぼ
)
す涙に真心見えて
哀
(
あわれ
)
なり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここまで読むと徐庶は、
潸然
(
さんぜん
)
と
流涕
(
りゅうてい
)
して燭も
滅
(
めっ
)
すばかり独り泣いた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
痩せ
尖
(
とが
)
った肩を大きくふるわせ、そして
潸然
(
さんぜん
)
と泣いて叫んだ。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
憤怒の眼に血ばしっていたものは、
潸然
(
さんぜん
)
と下る涙に変った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、
潸然
(
さんぜん
)
となみだを流し、苦しげに顔をしかめた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
潸然
(
さんぜん
)
と、涙してないだけだった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
潸然
(
さんぜん
)
と泣いて顔を掩った。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、
潸然
(
さんぜん
)
と涙した。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
潸
漢検1級
部首:⽔
15画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“潸然”で始まる語句
潸然々々