淺猿あさま)” の例文
新字:浅猿
あはれむだらうか? いとふだらうか? それともまた淺猿あさましがるだらうか? さうしてあの可憐いぢらしくも感謝かんしや滿ちた忠實ちうじつ愛情あいぢやう
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
れば惡は惡にほろぶる事誠に是非もなき次第しだいなりまた主人あるじ五兵衞は其人を知らずたゞ己のよくほしいまゝになせしゆゑ遂には家の滅亡めつばうを招くといふこれまた淺猿あさましき事にこそ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其處そこには毛蟲けむし淺猿あさましい損害そんがいあるひるにしても、しと/\としば/\こずゑあめそらあをさをうつしたかとおもふやうに力強ちからづよふかいみどり地上ちじやうおほうてさわやかなすゞしいかげつくるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『男は淺猿あさましいものだ!』と心で言つて見た。青森にゐる兄の事が思出されたので。——嫂の言葉に返事もせず、竈の下を焚きつけ乍らも聖書を讀んだ頃が思出された。亡母はゝの事が思出された。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
酒に荒んだ、生殖作用を失つた、四十女の淺猿あさましさ!
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)