淡紅色たんこうしょく)” の例文
いつも、がたが、ななめにここへすころ、淡紅色たんこうしょくちいさなちょうがどこからともなくんできて、はなうえまるのでした。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この淡紅色たんこうしょくの薄さはあたかも綾羅りょうらすかして見たる色の如く全く言葉もていひ現しあたはざるほどあるかなきかの薄さを示したり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
変種に白花の品と淡紅色たんこうしょくの品とがあって、その淡紅色のものをアケボノユリ(新称)といい、白花のものをシラタマユリと呼んでいる。これはともに園芸品である。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
橙色になったと思っているうちに、今度は淡紅色たんこうしょくに変った。——ここに於て、私は万事を察した。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二、ワードロ大佐 拳闘家(淡紅色たんこうしょく帽、青および短衣ジャケツ
おもいのほか、電髪パーマネント手間てまどられて、そとたときは、いつしか西にしほうそらが、わずかに淡紅色たんこうしょくをして、れていました。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
日本の児女がその身にまとはんとする絹布けんぷの白さは魚類の腹の白さ(すなわち銀白色)なり。また淡紅色たんこうしょく紅味あかみを帯びたる雪の色(即ち蒼白あおじろき淡紅色)なり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
珠玉しゅぎょくちりばめた翡翠色ひすいいろの王座にしょうじ、若し男性用の貞操帯というものがあったなら、僕は自らそれを締めてその鍵を、呉子女王の胸に懸け、常は淡紅色たんこうしょく垂幕たれまくへだてて遙かに三拝九拝し
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
くきは九〇〜一二〇センチメートルに成長して立ち、なんとなく上品な色をていし、花も淡紅色たんこうしょくで、すこぶる優雅ゆうがである。前記のとおり、このユリにもヤマユリの名があり、またサユリという名もある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
全色彩の根調となるべき緑と黄とに対照して倉庫の下部に淡紅色たんこうしょくを施し屋根瓦やねがわらに濃き藍を点じたるが如き
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「わたし、カーネーションがきよ。」と、かたすみにあった淡紅色たんこうしょくはな目指めざしていいました。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はなもまたいろいろで、一ぽんくきに、一つしかはなかないもの、一茎ひとくきむらがってはなくもの、香気こうきたかいもの、まったく香気こうきのしないもの、そのいろにしても、紫色むらさきいろのもの、淡紅色たんこうしょくのもの
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)