浮橋うきはし)” の例文
「さあ、どんなものでござりましょうか。わたくし共も詳しいことは存じませんが、なんでも浮橋うきはしさんからそんな話がござりました」
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あま浮橋うきはしの上にて、山の神千二百生れたまふ也。この山の御神の母御名を一神いちがみきみと申す。此神産をして、三日までうぶ腹をあたためず。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
何しろ夕霧と云い、浮橋うきはしと云い、島原や撞木町しゅもくまちの名高い太夫たゆうたちでも、内蔵助と云えば、下にも置かぬように扱うと云う騒ぎでございましたから。
或日の大石内蔵助 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
笹屋に戻ると、以前の広間に、内蔵助のうき大尽は、敵娼あいかた浮橋うきはしの膝に体をもたせかけ、辻咄つじばなしの徳西だの、瀬川竹之丞だの、幇間末社たいこまっしゃにかこまれて
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしあめ浮橋うきはしの上までおいでになって、そこからお見おろしになりますと、下では勢いの強い神たちが、てんでんにあばれまわって、大さわぎをしているのが見えました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
さて六日むいかには泉山せんざんといふところへお出掛でかけになるについて、わたくしもおともをいたし四条通しでうどほりから五条ごでうわたり、松原通まつばらどほりから泉山せんざんまゐりまするには、かねて話に聞いてりました、ゆめ浮橋うきはしといふのをわたりました
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
かれ二柱の神、あめ浮橋うきはしに立たして、その沼矛ぬぼこおろして畫きたまひ、鹽こをろこをろに畫きして、引き上げたまひし時に、その矛のさきよりしたたる鹽の積りて成れる島は、淤能碁呂おのごろなり。
夢の浮橋うきはし、あら、なつかしや
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
夢の浮橋うきはし中絶なかたちて
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
あめ浮橋うきはしという、雲の中に浮かんでいる橋の上へお出ましになって、いただいたほこでもって、下のとろとろしているところをかきまわして、さっとお引きあげになりますと
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
怪我けがでもさせると大変たいへんだと思つて今から心配でございます、モウ明日みやうにちになりました……それわたしの名が貴方あなた、どうも蓮華班れんげまだらといふのでげすからな、おまけにゆめ浮橋うきはしわたるといふので替牛かへうしがおまへさん
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)