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汐風
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しおかぜ
ふりがな文庫
“
汐風
(
しおかぜ
)” の例文
しばらくすると、どーんと銃声一発
汐風
(
しおかぜ
)
ふく暗い洋上の空気をゆりうごかした。
射程
(
しゃてい
)
はわずかに百メートルぐらいだから、見事に命中である。
幽霊船の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この黒塀の
側
(
そば
)
の
小溝
(
こみぞ
)
に添うて、とぼとぼと赤羽橋の方へやって来た、眼の前には芝
山内
(
さんない
)
の森が高く黒い影を現しておる、
後
(
うしろ
)
の方から吹いて来る
汐風
(
しおかぜ
)
が
冷
(
ひ
)
やつくので
白い蝶
(新字新仮名)
/
岡田三郎助
(著)
静かに寄せ来る波……
然
(
しか
)
し、沖には白波がいたく
吠
(
ほ
)
えている。然して
汐風
(
しおかぜ
)
が吹き荒れているが
為
(
ため
)
に。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と細いが聞くものの耳に響く、
透
(
とお
)
る声で言いながら、どこをどうしたら笑えよう、辛き浮世の
汐風
(
しおかぜ
)
に、
冷
(
つめた
)
く大理石になったような、その仏造った顔に、寂しげに
莞爾
(
にっこり
)
笑った。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は長い船旅で、日に焼け、熱に蒸され、
汐風
(
しおかぜ
)
に吹かれて来たばかりでなく、
漸
(
ようや
)
くのことであの東京浅草の小楼から起して来た
身
(
からだ
)
をこうした外国の生活の試みの下に置いた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
左の方から、例の
磯
(
いそ
)
ッ臭い
汐風
(
しおかぜ
)
が吹いて来る度に、その青白いひらひらは一層数が多くなって、
皺
(
しわ
)
がれた、老人の力のない
咳
(
せき
)
を想わせるような、かすれた音を立てながらざわざわと鳴って居る。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
肩には肉が
瘤
(
こぶ
)
のようにもりあがってい、
汐風
(
しおかぜ
)
や陽やけのためではなく、生れつきらしい赤黒い顔に、眼と口とがばかげて大きく、そして
鋸
(
のこぎり
)
の目をたてるときのような、耳ざわりな声をしていた。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
広々した
廓内
(
くるわうち
)
はシンとしていた。じめじめした
汐風
(
しおかぜ
)
に、尺八の
音
(
ね
)
の
顫
(
ふる
)
えが夢のように通って来て、両側の柳や桜の下の暗い蔭から、
行燈
(
あんどん
)
の出た低い軒のなかに人の動いているさまが
見透
(
みすか
)
された。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
汐風
(
しおかぜ
)
が胸の中で大きくふくらむ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
負えるあり、
抱
(
いだ
)
けるあり、
児孫
(
じそん
)
を愛するが如し。松のみどり
濃
(
こま
)
やかに、
枝葉
(
しよう
)
汐風
(
しおかぜ
)
に吹きたわめて、屈曲おのずからためたる如し。そのけしき
窅然
(
ようぜん
)
として美人の
顔
(
かんばせ
)
を
粧
(
よそお
)
う。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
泉太も繁も、真黒に日に焼け
汐風
(
しおかぜ
)
に吹かれて来た父の顔を見まもっていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
寒い
汐風
(
しおかぜ
)
が、蒼い皮膚を刺すように
沁透
(
しみとお
)
った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は冷たい
汐風
(
しおかぜ
)
をうけて
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
牧野も、岸本も、雨や
汐風
(
しおかぜ
)
のために湿った旅の外套に身を包みながら大きな汽船に乗移った。戦時のことで、同胞の道連れも極く少かったが、その中には岸本が巴里で懇意になった夫婦の客もあった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
汐
漢検準1級
部首:⽔
6画
風
常用漢字
小2
部首:⾵
9画
“汐”で始まる語句
汐
汐留
汐時
汐干
汐干狩
汐汲
汐入
汐路
汐鳴
汐水