水気みずけ)” の例文
旧字:水氣
正宗相伝の銀河にまが大湾おおのだれに、火焔鋩子ぼうしの返りが切先きっさき長く垂れて水気みずけしたたるよう……中心なかごに「建武五年。於肥州平戸ひしゅうひらとにおいて作之これをつくる盛広もりひろ
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
太郎たろうは、いちばんのいった、水気みずけのたくさんありそうなのをもぎって、薬売くすりうりのまえっていってわたしました。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
踏めば靴の底がれそうに水気みずけを含んでいる。橋本は鹹気しおけがあるから穀物の種がおろせないのだと云った。豚も出ないようだねと余は橋本に聞き返した。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
水気みずけたっぷりな侘住居わびずまいをしているくらいですから、心臓の方も、さのみ老いてはいなかったのでしょう。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
空も森も伽藍がらんも池も山門も、ありとあらゆるかたちのものが、シットリとした水気みずけをふくんで、すず細粉さいふんでも舞っているように光る、ほのかな春月がどこかしらにある。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
根という根は互いにまつわりついて、お互いの水気みずけや養分を奪い合うのでした。
それへ口をつけて、むちゅうでぐいぐい飲んだまではおぼえているが、あとで考えると、その水気みずけというのは、人の小便しょうべんか、焼け死んだ死体のあぶらが流れたまっていたのだろうと話しました。
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
方々の水気みずけのない兀岩の上に、10720
御前ごぜん、ほんとに、わたしは今となってお金があったらと思います、何をしようにもお金がなくては動きが取れません、全く水気みずけの切れたお魚のようなものでございます」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ただ北海ほっかいなみおとこえるだけのひろさにかぎっていました。そして、ほかのより、水気みずけがあって、あまかったけれど、また、なんとなく、そのあじには、あわかなしみがありました。
火にあぶったかきもちなりは千差万別であるが、我も我もとみんなかえる。桜の落葉もがさがさにり返って、反り返ったまま吹く風に誘われて行く。水気みずけのないものには未練も執着もない。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「だって、太陽たいようが、たってあついから、水気みずけのある、はたけへいきたかったのだよ。」
木の上と下の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
仕方がないからまた眼を庭の方へ転ずると、四十雀しじゅうからはすでにどこかへ飛び去って、例の白菊の色が、水気みずけを含んだ黒土に映じて見事に見える。その時ふと思い出したのは先日の日記の事である。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)