気晴きばらし)” の例文
旧字:氣晴
べにさ。野衾でも何でもいやね。貢さんを可愛がるんだもの、恐くはないから行って御覧、折角、気晴きばらしくのものを、ねえ。此奴こいつが、」
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ミハイル、アウエリヤヌイチもやはり、しょっちゅう、アンドレイ、エヒミチを訪問たずねてて、気晴きばらしをさせることが自分じぶん義務ぎむ心得こころえている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あまりといえばつれない奥様のなされかた、——よし不義のそもそもから旦那様の御耳に入れて、御気毒ながらせめてもの気晴きばらしに、奥様の計略の裏を掻いてくれんと、私は女の本性を顕したのです。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「ちっとことでもいちゃどうだい。気晴きばらしに」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これはもう周囲まわりものうよりみとめているところで、只今ただいまもドクトル、エウゲニイ、フェオドロイチがうのには、貴方あなた健康けんこうためには、すべから気晴きばらしをして、保養ほようせん一とせんければならんと。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ときでも、かれからはなれてたくおもうのであったが、とも自分じぶんよりかれを一でもはなすことはなく、なんでもかれ気晴きばらしをするが義務ぎむと、見物けんぶつとき饒舌しゃべつづけてなぐさめようと、附纒つきまとどおしの有様ありさま
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)