死絶しにた)” の例文
同一おなしみづ医者いしやうち死絶しにたえた、さればかやうな美女びぢよ片田舎かたゐなかうまれたのもくにがはり、だいがはりの前兆ぜんちやうであらうと、土地とちのものは言伝いひつたへた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから十年ほど経つうちに、お杉の家は死絶しにたえてしまった。二人の名も大方忘れられてしまった。しかるに某日あるひのこと、樵夫きこりが山稼ぎに出かけると、の虎ヶ窟の中から白い煙の細くあがるのを見た。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
二度目には右の肩よりげたるが、これにてもなお死絶しにたえずしてあるところへ、里人さとびとら驚きてせつけ倅をおさえ直に警察官をびてわたしたり。警官がまだ棒を持ちてある時代のことなり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
茂「へい八王子の千人同心だと申す事でございますが、うち死絶しにたえて、今では縁の伯母が一人あるばかりだと申すことでございますが、わたくし大横町おおよこちょうまで送って帰りましたから、先のうちは存じません」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おなじ水で医者の内も死絶しにたえた、さればかような美女が片田舎かたいなかに生れたのも国が世がわり、だいがわりの前兆であろうと、土地のものは言い伝えた。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これれば、蒙古人がの窟に棲んでいたと云うことはすでに疑いもなき事実である。が、蒙古人即ち𤢖わろであるか。蒙古人はくに死絶しにたえて、更にの𤢖なる者がかわって棲むようになったのか。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)