-
トップ
>
-
死灰
>
-
しくわい
一体東海道掛川の
宿から
同汽車に
乗り
組んだと
覚えて
居る、
腰掛の
隅に
頭を
垂れて、
死灰の
如く
控へたから
別段目にも
留まらなかつた。
既に一
燼の薪となるべきを、幸に
字を
識者に
遇ひて
死灰をのがれ、
韻客の
為に
題詠の
美言をうけたるのみならず、
竟には
椎谷侯の
愛を
奉じて身を
宝庫に安んじ
浮世の
欲を
金に
集めて、十五
年がほどの
足掻きかたとては、
人には
赤鬼と
仇名を
負せられて、五十に
足らぬ
生涯のほどを
死灰のやうに
終りたる、それが
餘波の
幾万金、
今の
玉村恭助ぬしは
既に一
燼の薪となるべきを、幸に
字を
識者に
遇ひて
死灰をのがれ、
韻客の
為に
題詠の
美言をうけたるのみならず、
竟には
椎谷侯の
愛を
奉じて身を
宝庫に安んじ