正季まさすえ)” の例文
正遠のあとは、嫡男正成、次に弟の正季まさすえ……。その下にまだ女子がいたやらいぬやら。ともあれ、卯木は正成の妹にあたる者でおざる。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
窓からうかがわれる河内平野の、朝霧の景色をご覧になりながら、舎弟正季まさすえと恩地太郎とを連れた、楠木くすのき正成と顔を合わした。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
名利みょうり恋々れんれんたるのではないが、彼も一族の族長だ。乱世らんせ権化ごんげみたいな熱血そのもののやからも多くかかえている。弟正季まさすえがしかりである。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こもりあそばされた護良親王様もりながしんのうさまを、まず第一に落し参らせ、つづいて将卒を落しやり、火かくる者一人をとどめ置き、舎弟の七郎正季まさすえや、和田正遠等を従えて、自身も蓑笠みのかさに身をやつし
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
敗れた正成、正季まさすえらの一族はどう逃げ道をとったか? 昔は、この地方一帯にくすが多かったという川辺氏の話の端にも興味はつきない。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正成まさしげの舎弟正季まさすえと、一族の和田正遠とが、隠し伏せて置いた勢であった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こここそが、第一の強敵、楠木正成、正季まさすえのある陣地と、もちろん初めからの主目標として、近々と、いどみかかって来るもののようだった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正季まさすえ義光よしてるたちも従った。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「河内殿(楠木)の内に、龍泉殿とか呼ばれているご舎弟があったな。そうだたしか正季まさすえ殿という。——そちはその正季の家臣であろうが」
と、異様な昂奮をみせていたが、たちまち楠木正季まさすえと二、三の将が、坂道を駈けくだって、正成のいる三の曲輪くるわの方へと
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、正成を見つけて、駈けよって来た正季まさすえには、あやしくも、よろこびにちかい、いや歓喜の極限にひとしい声があった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「楠木家の御兄弟——正成、正季まさすえどのも師事され、奥河内の若い郷党輩きょうとうばらからも、お師として、慕われておるのを見ても」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その三名が立つと、正成はすぐ、弟の正季まさすえ、義兄の季綱すえつな、ほか安間、和田、橋本、神宮寺などの一族中のおもな者七、八名を赤坂城へよびにやった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それは覚えておるよ。たしかあの夜はひどい暴風雨あらしであった。そして、初めて御辺ごへんを見た所は、龍泉の正季まさすえが家の奥。……な、柳斎、いや右馬介どの」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かつての年、楠木正季まさすえらの手に捕まって、加賀田の隠者毛利時親ときちかの山荘へと引ッたてられてゆく途中、あまりあばれたので、一ト太刀くッたそのときの古傷だった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もしや、あなたは楠木家の御舎弟さまではございませんか。いやそうだ。正季まさすえ様にちがいない」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だかられの凱旋の鹵簿ろぼをお迎えに——と、これへ来ても、正成はじめ、弟の正季まさすえ、一族すべて、特別、身にかざる綺羅きらなよろい太刀や行粧などは持ち合せていなかった。
母屋おもやの縁だけでなく、書院の廊から下屋しもやの方にも家臣の顔がいっぱいだった。水分みくまりの大家族はほとんど揃ッたかんがある。龍泉の正季まさすえも家来をつれて書院廊の角に坐っていた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、つづいて四天王寺の正季まさすえもひきあげて来たことから、がぜん四隣の族党のあいだでは、いろんな論議や臆測がおこっていた。それらをなだめるのにも正成はひと骨だった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「して、なにか。……曲者はやはりそちが見たとおり、楠木正季まさすえの郎党に相違ないのか」
正成、正季まさすえらと共に自刃した人々の数も、太平記には、宗徒むねとの一族十六人、相随あいしたがう兵五十余人となっているが、前記の朝舜の手紙では、一族二十八人とだけで、ほかは見えていない。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あなたの態度にごうやして、ついに舎弟しゃてい正季まさすえどのは、自分だけの手勢を作って、たった今、龍泉りゅうせんの屋敷を捨て、笠置かさぎへ行くと広言して出発したそうですぞ。イヤどうも弱ったものだ!
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お、正季まさすえだな」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正季まさすえがか?」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)