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桃割
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ももわれ
ふりがな文庫
“
桃割
(
ももわれ
)” の例文
今度は以前のように下絵などの面倒なこともありませんので、師匠の
差図
(
さしず
)
と自分の考案で、童女の方は十か十一位、
桃割
(
ももわれ
)
に結って三枚
襲
(
がさ
)
ね。
幕末維新懐古談:27 引き続き作に苦心したこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「お雪さん、あなたは島田よりか
桃割
(
ももわれ
)
が似合うかも知れない、桃割に結ってみて上げたいとも思うけれど、それではあんまり子供らしいから」
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今の細君が大きい
桃割
(
ももわれ
)
に結って、このすぐ下の家に娘で居た時、
渠
(
かれ
)
はその
微
(
かす
)
かな琴の
音
(
ね
)
の
髣髴
(
ほうふつ
)
をだに得たいと思ってよくこの八幡の高台に登った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
花簪や花櫛の
摘
(
つ
)
み細工、と云っても、現代人には通じ難いが、下町娘の
結綿
(
ゆいわた
)
や
桃割
(
ももわれ
)
などの髪によく挿したそれの造花仕事を、一家中でやっていた。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駒下駄のちょこちょこあるきに、石段下、その呉羽の神の鳥居の蔭から、
桃割
(
ももわれ
)
ぬれた
結立
(
ゆいたて
)
で、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
角絞
(
つのしぼ
)
り。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
その前に並べた
酒袋
(
しゅたい
)
の座布団と、吉野
春慶
(
しゅんけい
)
の
平膳
(
ひらぜん
)
が
旅籠
(
はたご
)
らしくなかった。頭の
天辺
(
てっぺん
)
に
桃割
(
ももわれ
)
を載せて、鼻の頭をチョット白くした小娘が、かしこまってお酌をした。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私が振返ってすっかり青葉になってしまった桜を眺めている間に、羽織姿の
桃割
(
ももわれ
)
と
赤前垂
(
あかまえだれ
)
の
丸髷
(
まるまげ
)
とが交って踊り出した。見物人の間に立って私はしばらく見ていた。
祇園の枝垂桜
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
好く見れば、お玉よりは顔が円くて背が低い。それにパナマ帽の男は、その女ばかりではなく、
背後
(
うしろ
)
にまだ三人ばかりの島田やら
桃割
(
ももわれ
)
やらを連れていた。皆芸者やお酌であった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
門附の娘はわたくしが銀座の裏通りで折々見掛けた時分には、まだ
肩揚
(
かたあげ
)
をして三味線を持たず、左右の手に
四竹
(
よつだけ
)
を握っていた。髪は
桃割
(
ももわれ
)
に結い、黒
襟
(
えり
)
をかけた
袂
(
たもと
)
の長い着物に、赤い半襟。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
東三筋町に近い、
鳥越
(
とりごえ
)
町に
渡辺省亭
(
わたなべせいてい
)
画伯が住んでおられて、令嬢は人力車でお茶の水の女学校に通った。その時は髪を
桃割
(
ももわれ
)
に結って蝦茶の袴は未だ穿いていなかったから私はよくおぼえている。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
紺の
暖簾
(
のれん
)
を張った広い店先きにミシンを置いて、
桃割
(
ももわれ
)
に結った町子が、
黒繻子
(
くろじゅす
)
の
襟
(
えり
)
をかけてミシンを踏んでいるところは、
早稲田
(
わせだ
)
の学生達にも評判だったとみえて、学生達が足袋をあつらえに来ては
晩菊
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
慰みに、お
酌
(
しゃく
)
さんの
桃割
(
ももわれ
)
なんか、お世辞にも
誉
(
ほ
)
められました。めの字のかみさんが幸い
髪結
(
かみゆい
)
をしていますから、八丁堀へ世話になって、
梳手
(
すきて
)
に使ってもらいますわ。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大きな
桃割
(
ももわれ
)
。真赤な振袖。金糸ずくめの帯を
立矢
(
たてや
)
の字に結んだ呉羽がイソイソと登場する。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
まあ、お聞き——隣合った私の桟敷に、髪を
桃割
(
ももわれ
)
に結って、緋の半襟で、
黒繻子
(
くろじゅす
)
の襟を掛けた、黄の勝った八丈といった柄の着もの、
紬
(
つむぎ
)
か何か、
絣
(
かすり
)
の羽織をふっくりと着た。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その横に下町風の大
桃割
(
ももわれ
)
に結った娘が、用足しに出た途中であろう。
前垂
(
まえだれ
)
をかけたまま腰をかけて、世にも悩ましく、
媚
(
なま
)
めかしく、燃え立つような頬と眼を輝かせながら、男に
凭
(
もた
)
れかかっている。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
桃
常用漢字
中学
部首:⽊
10画
割
常用漢字
小6
部首:⼑
12画
“桃割”で始まる語句
桃割髪