松江しょうこう)” の例文
瘳二子及び門人王稌おうじょ拾骸しゅうがいの功またむなしからず、万暦に至って墓碑祠堂しどう成り、祭田さいでん及び嘯風亭しょうふうてい等備わり、松江しょうこう求忠書院きゅうちゅうしょいん成るに及べり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
僕は君が知っている通り、松江しょうこうに田を持っている。そうして毎年秋になると、一年の年貢ねんぐを取り立てるために、僕自身あそこへくだって行く。
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ふとくびすかえして、二あしあしあるきかかったときだった。すみ障子しょうじしずかにけて、にわった春信はるのぶは、蒼白そうはくかおを、振袖姿ふりそですがた松江しょうこうほうけた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「魏王が一代のご馳走といってもいいこの大宴に、名も知れぬ魚の料理とは、貧弱ではないか。大王、なぜ松江しょうこうすずきをお取り寄せにならなかったか」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唐の貞元年中、漁師十余人が数そうの船に小網を載せて漁に出た。蘇州そしゅうの太湖が松江しょうこうに入るところである。
松江しょうこうはそういいながら、きゃしゃな身体からだをひねって、おどりのようなかたちをしながら、ふたたかがみのおもてにびかけた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
松江しょうこうへ行って、道士の太古庵たいこあん仮寓かぐうしていた。その時に見たのは、かじかを切るの術である。
「うん。一度も行った事はない。が、もう十日ばかりすると、また松江しょうこうくだる事になっている。その時渭塘いとうを通ったら、是非あの酒旗しゅきの出ている家へ、もう一度舟を寄せて見るつもりだ。」
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かがみのおもてにうつしたおのが姿すがた見詰みつめたまま、松江しょうこう隣座敷となりざしきにいるはずの、女房にょうぼうんでた。が、いずこへったのやら、ぐに返事へんじかれなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)