未進みしん)” の例文
ぬぐひ私し弟十兵衞事は三州藤川在岩井村の百姓にて豫々かね/″\正直者しやうぢきものに候へ共不事の物いり打續き年貢の未進みしん多分たぶんに出來上納方に差支さしつかへ如何とも詮術せんすべなき儘文と申あね娘を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あのタンボ気違いの兄きがなめるようにして可愛がっていました田地召上げられましてどの空で生きて行けますべ? それが困れば未進みしん上納共地代二十両、持って来いと申されます。
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
糠雨ぬかあめ朧夜おぼろよに、ちひさ山廓さんかくほこらまへやぶみののしよぼ/\した渠等かれら風躰ふうてい、……ところが、お年貢ねんぐ、お年貢ねんぐ、ときこえて、未進みしん科条くわでう水牢みづらうんだ亡者もうじやか、百姓一揆ひやくしやういつき怨霊おんりやうか、とおもく。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なし在所ざいしよより遙々はる/″\便たより來りし弟十兵衞を芝札の辻に於て殺害し年貢ねんぐ未進みしんに血のなみだにて娘文を苦界くがいへ沈めし身の代金をうばひ取て其罪を浪人藤崎道十郎に巧言かうげんを以ておはせ又妹お富を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あのタンボ気違いの兄きが舐めるようにして可愛がっていました田地召上げられましてどの空で生きて行けますべえ? それが困れば未進みしん上納共地代二十両、持って来いと申されます。
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
はたらき第一弟十兵衞國元に於て年貢ねんぐ未進みしん差迫さしせまり娘文を其方が世話を以て遊女に賣し身のしろ金四十二兩を持て歸國のせつ丑刻やつかね寅刻なゝついつはり出立させ置後より見えかくれにしのび行芝札の辻にて同人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)