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朝寢
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あさね
二
月十一
日、
待に
待つたる
紀元節の
當日とはなつた。
前夜は、
夜半まで
大騷ぎをやつたが、なか/\
今日は
朝寢どころではない。
朝がへりの
殿がた一
順すみて
朝寢の
町も
門の
箒目青海波をゑがき、
打水よきほどに
濟みし
表町の
通りを
見渡せば、
來るは
來るは、
萬年町山伏町、
新谷町あたりを
塒にして
衣服を
着て
帶を
〆めて、やがて
尻を
端折らうと
云ふ
頃、ふと
橋の
上を
見ると、
堅氣も
多いが、
賣女屋のある
小さな
宿、
何となく
自墮落の
風が
染まると
見えて、
宿中いづれも
朝寢らしい。