日本ひのもと)” の例文
からには、蜀江しよくかうとて、にしきを洗ふ所と、詩歌にも作るところあり。日本ひのもとのすのまたなどのやうに広く、いかめしう人も通はぬ大川たいせんなり。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしながら、文字にこれを「日本ひのもと」と書くも、国号としてはこれを文字のままに、直ちにヒノモトと称する訳ではなかった。
国号の由来 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
「方々は近頃噂の高い、黒仮面船の水夫衆でござろう。拙者は日本ひのもとの武士でござれば、如何なる者をも恐れは致さぬ!」
赤格子九郎右衛門 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私は日本ひのもとの女で御座りまする。父母ちゝはゝそむかせ、天子様にそむかせる異人の教へは受けませぬ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
此山の標準みちしるべ日本ひのもとの北海へながれきたりたる其水路すゐろ詳究しやうきゆうせんとて「唐土もろこし歴代れきだい州郡しうぐん沿革地図えんかくちづ」により清国いまのから道程みちのり図中づちゆうけんするに、蛾眉山は清朝いまのからみやこへだつこと日本道四百里ばかりの北に在り
常時日本ひのもとにかくれなき陰陽博士阿部晴明が一の弟子……。
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
日本ひのもとのそれとたれど
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
我が日本ひのもとの桜見る人
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
 火もて消ちつゝ 言ひもかね 名づけも知らに くすしくも 座す神かも 石花海せのうみと 名づけてあるも その山の 包める海ぞ 不尽河と 人の渡るも その山の 水のたぎちぞ 日本ひのもとの やまとの国の しづめとも 座す神かも 宝とも なれる山かも 駿河なる 不尽の高峰は 見れど飽かぬかも
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
「この眼に、この眼に、わしは初めて、ほんとうの人を見た。いや神を見た、日本ひのもとという国を見た。——小四郎、さッ急ごう、京都へだ」
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本ひのもとの男子九郎右衛門が、計らず殿下にお眼にかかり、お国の大事を聞いたというも、何かのご縁でござりましょう。
赤格子九郎右衛門 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
三韓人はまた一方に、我が国が東方日出処ひいづるところにあるが故に、これを日本ひのもとと称し、我が国でもそれを枕言葉として、「日の本のヤマト」なる称呼が用いられた。
国号の由来 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
此山の標準みちしるべ日本ひのもとの北海へながれきたりたる其水路すゐろ詳究しやうきゆうせんとて「唐土もろこし歴代れきだい州郡しうぐん沿革地図えんかくちづ」により清国いまのから道程みちのり図中づちゆうけんするに、蛾眉山は清朝いまのからみやこへだつこと日本道四百里ばかりの北に在り
こういうことがこの日本ひのもとの津々浦々にまで行き渡ったならばどんなにこの国が平和になり、どんなにこの国の人達が暮らしよくなるかは計り知れぬ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「そうじゃ。あの男はへたをすると、後日、天下をうごかす程な人間になるかもしれぬ。この日本ひのもとの国でなければ、帝王の相といってもよいくらいだ」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うけ玉ひて日本ひのもとかへり玉ひたりと
あなたの誠のお父上は、並々ならぬ尊いお方で、しかも日本ひのもとのこの国にとっては、恐ろしいお方でもございました。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
けれど楠木様に召仕われてからは、あやまりてわが武士道と、さらりと悩みも解けました。——二君とは誰と誰。この日本ひのもとには、君たる御方は、主上御一人しかないはずであります。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うけ玉ひて日本ひのもとかへり玉ひたりと
如何いかんとなればさようの武器が、もしも愚将の手に入るか残忍なる人間の手に入りましたら、それこそ日本ひのもとは益〻乱脈、人々塗炭とたんに苦しむからでござるよ!
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「食うことだけなら、生きて行くだけなら、何をやろうと、どこへ行こうと、この日本ひのもと、出来ましょうよ」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おのれの心を苦しめるであろうぞ! 承久以来、この日本ひのもとに、大間違いの言葉が起こった! 『宮方ご謀反』というこの言葉じゃ! ……神のくにに属する宮方に
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「そうなくてはなりませぬ。……北条家代々のご仁政によって、この日本ひのもとの武士という武士は、安泰にくらすこと出来ました筈で。……ご恩は海山でござりまする」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「いいえ宮様はあなたお一人だけの、御方様おんかたさまではござりませぬ! この日本ひのもとのみんなの御方様!」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「女の心は女が知る、お前様のお心持ち、この望東にはよくわかります。しかし月照上人様は、お前様一人のお方ではござりませぬ。この日本ひのもとみんなのお方でござります!」
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……上に立つ田沼のこの秕政により、士風はおびただしく頽廃し、淫風しきりに吹きすさみ、この有様にてここ数年、経過いたさば日本ひのもとの基礎、まことにあやういと申さねばならぬ。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)