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すうちやう
頓て
鐵車は
勢よく
進行を
始めると、
櫻木大佐をはじめ三十
餘名の
水兵共は
歡呼を
擧げて、十
數町の
間吾等の
首途を
見送つて
呉れたが、
遂に、
唯ある
丘陵の
麓で
別を
告げ、
吾等は
東へ、
彼等は
西へ
此家を
去る
事十
數町の
彼方に、
一帶の
灣がある、
逆浪白く
岩に
激して
居るが、
其灣中、
岩と
岩とが
丁度屏風のやうに
立廻して、
自然に
坩※の
形をなして
居る
處、
其處に
大佐の
後姿がチラリと
見えた。