改竄かいざん)” の例文
かつこの一篇は初めからデッサンのつもりで書いたゆえ、如何に改竄かいざん補修を加えてもデッサンはついにデッサンたるを免がれない。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
その建築けんちく日本にほん輸入ゆにふせられて、しかも純木造じゆんもくざう改竄かいざんされたのは、やはり材料ざいれう國民性こくみんせいとのためで地震ぢしん考慮かうりよしたためではない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
この物語は仏在世既にあまねく俗間に歌われ種々の増補と改竄かいざんを受けたのだから、和漢の所伝が現在インドの諸本と異処多きはそのはずだ。
だから史実を勝手に改竄かいざんした罪は、あの小説を書いた自分になくして、むしろあの小説を非難するブルヂヨア自身にあつたと云つて差支さしつかへない。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
彦三郎が座頭ざがしらの位地と人気をたのんで、脚本改竄かいざんの我儘を主張したが為である。彦三郎といえども黙阿弥には敵し得ない。
寄席と芝居と (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
下谷叢話したやそうわ』ハはじめ下谷のはなしト題シテ大正甲子かっしノ初春ヨリ初稿しょこうノ前半ヲ月刊ノ一雑誌ニ連載シタリシヲ同年ノ冬改竄かいざんスルニ当リテクハ改題セシナリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ただ古典の演奏にどれだけ正直であるか、またどれだけの改竄かいざん変更が行われているかが問題になるのである。
国史の認識が喧しくなればなる程、一定の国史史料は封鎖されねばならず、古典的文献そのものが改竄かいざんされたり否定されたりしなければならなくなって来ているのだ。
そのさい作者は、この長編の全部にわたって、至るところに多少改竄かいざんの筆を加えている。
ベースボールいまだかつて訳語あらず、今ここにかかげたる訳語はわれの創意にかかる。訳語妥当だとうならざるは自らこれを知るといえども匆卒そうそつの際改竄かいざんするによしなし。君子くんし幸にせいを賜え。
ベースボール (新字新仮名) / 正岡子規(著)
そのためには戸籍面も改竄かいざんして、生きながら母は、死亡しているのかも知れません。
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
トルストイはその秋ただちにこの物語の筆を染め、爾来じらい四年間に、幾度となく改竄かいざん推敲すいこうを重ねた後、ようやく本篇の発表機関となった『ユリエフ記念文集』の編纂者の手に渡されたのであった。
今さらに一句一章を改竄かいざんしてみたところでどうしようもないようである。
現代茶人批判 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
しかもそれらはいずれも原作そのままを上演されたのではなく、みな在来の狂言作者の改竄かいざんを経たのである。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
改竄かいざんするしないは格別大問題だと心得てゐないが、事実としてこの機会にこれだけの事を発表して置く。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『日和下駄』は大正三年夏のはじめころよりおよそ一歳あまり、月々雑誌『三田文学』に連載したりしを、この度米刃堂へいじんどう主人のもとめにより改竄かいざんして一巻とはなせしなり。
また有名いうめいなる九しう有明灣ありあけわん理由りいうなしに改竄かいざんして島原灣しまはらわんなどとゝなへてゐるものもある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
勿論予はこの遺書をおほやけにするに当つて、幾多の改竄かいざんを施した。たとへば当時まだ授爵の制がなかつたにも関らず、後年の称に従つて本多子爵及夫人等の名を用ひた如きものである。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
両者の混同より起る損害は一は古きものを破損し一は新しきものの発達を阻害すればなり。例へば江戸演劇の旧脚本を取り来りてこれを改竄かいざんするが如きその罪これより大なるはなし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)