さし)” の例文
古風にさしたり袋棚ふくろだなの戸二三寸明し中より脇差わきざしこじりの見ゆれば吉兵衞は立寄たちよりて見れば鮫鞘さめざやの大脇差なり手に取上とりあげさやを拂て見るに只今人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かれはそれでも煙管きせるして隙間すきまから掛金かけがねをぐつといたらせんさしてなかつたのですぐはづれた。かれくらしきゐまたいでたもと燐寸マツチをすつとけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と山三郎は癇癪紛れにガチ/\とやって着物や羽織を引出して、さっ/\と着換えて脇差をさしたが、見相けんそうが変って居りますから馬作は何だか解らん。
胸のポケットの革の鉛筆さしに並べて揷した、赤や青や紫やの色とり/″\の鉛筆と、それ等の鉛筆の冠つた光彩陸離たるニッケルのカップとが、私の眼を眩惑げんわくさせたのであつた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
すなわち日本の実業家はおのれの事業中に感情をさしはさむの欠点あることである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
二ツ取出しほどよき所へ据置すゑおき左右へは新らしきしきみの花をさし香爐臺かうろだいに香をくゆらし前にはむしろ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もとはその家柄はいやしからぬ者で、南北戦争のさいには南軍がたであって、最もリンカーンの政策に反対した者であったためか、リンカーンの人物を評するにも、その時の感情をさしはさんで
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)