拔群ばつぐん)” の例文
新字:抜群
振り返つてニツコリする顏は二十六七、大年増と言つて宜い年配ですが、淋しいところはあるにしても、兄の杉之助に似て、拔群ばつぐんのきりやうです。
銭形平次捕物控:167 毒酒 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
田越たごえ蘆間あしまほしそら池田いけださと小雨こさめほたる、いづれも名所めいしよかぞへなん。さかな小鰺こあぢもつとし、野郎やらうくちよりをかしいが、南瓜かぼちやあぢ拔群ばつぐんなり近頃ちかごろ土地とち名物めいぶつ浪子饅頭なみこまんぢうふものあり。
松翠深く蒼浪遥けき逗子より (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
引取れたり折柄をりから太守たいしゆには岡山ざい城中なれば家老中からうちう對面有て此度このたび手柄てがら拔群ばつぐんなりと賞美しやうび有りてとほからず岡山表へ差下さしくだすべき旨申渡され夫より五日程すぎて又家老中より奉書ほうしよ到來たうらい致し明朝みやうてう江戸表發足ほつそく有べし尤も道中警固けいごの爲足輕あしがる十人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さう居ふ寅吉は、胸の中に百兵衞の大きい身體と、その拔群ばつぐんの手足を考へて居るのでした。
さうは言ふものの、身の丈けも拔群ばつぐん、色白のふとじしで、なか/\の立派な男です。
さんとして降りそゝぐ五月の陽の下、土手の若草の上におつ轉がされたのは、眞つ白な美女の肉體、振り亂した髮をかき上げてやる迄もなく、死もまた奪ふことの出來ない拔群ばつぐんの美しさは
顏形は端麗たんれいと言つてよく、道具の揃つて居ることは拔群ばつぐんですが、血色がひどく惡い上に、愛嬌あいけうや世辭を何處かへ振り落したやうな無表情で、斯う相對してゐても何となく、一種の壓迫を感ずるやうな
御家人喜六の腕は拔群ばつぐんでした。