ぬき)” の例文
旧字:
梅「それはまア有難い事で、何もございませんが、召上るか召上らないか存じませんが、只今鰌のぬきを云い付けて参りましたから」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其処そこしきものには熊の皮を拡げて、目のところを二つゑぐり取つたまゝの、して木の根のくりぬき大火鉢おおひばちが置いてあつた。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
連日れんじつ晴天せいてんも一時にへんじて雪吹となるは雪中の常也。其ちからぬきいへくじく。人家これがためくるしむ事枚挙あげてかぞへがたし。
これもこの通り天井に空気ぬきの付いた流行色の山高帽をかむって、片チンバのゴム長靴を穿いてブラリブラリと市中を横行していたら、いい加減時代おくれの蘭法らんぽう医師ぐらいには見えるだろう。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
拾い上げてあらため見るに是れ通常の酒瓶の栓にして別にかわりし所も無し、上の端には青き封蝋の着きし儘にて其真中にきりをもみ込し如き穴あるは是れ螺旋形うずまきのコロップぬきにて引抜ひきぬきたるあとなるべし
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
国汚すやっこあらばと太刀ぬきあだにもあらぬ壁に物いふ
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
そらわっしに瀬踏をさした位なんですから、そうやって日が経っても、何にもいわないについて大丈夫とは思ったでしょうが、まだ安心がなりますまい、そこで段取はぬき
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)