“扉(どあ)” の例文
ドカリ——洗面所(せんめんじよ)の方(かた)なる、扉(どあ)へ立(た)つた、茶色(ちやいろ)な顔(かほ)が、ひよいと立留(たちどま)つてぐいと見込(みこ)むと、茶(ちや)の外套(ぐわいたう)で恁(か)う、肩(かた)を斜(はす)に寄(よ)つたと思(おも)ふと
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
白晝(ひる)はベツトに寢ねて寒さに悲しみ、夜は遲く起きて徘徊す。稀れに訪ふ人あれども應へず、扉(どあ)に固く鍵を閉せり。
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
平凡と俗惡の中に居て、人から注意を享けぬとなツては、もう駄目だね。朝に下宿を出る時は希望もあり、勇氣もある。然しそれも職員室の扉(どあ)を開(あ)けるまでの事だ。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
一時間も二時間も下りて来ぬことがあります。私は耳をすまして二階の物音を聞こうとしたり、窃(そっ)と主人の書斎の扉(どあ)の外に抜足(ぬきあし)してじいッと聴いたり、鍵(かぎ)の穴からも覗(のぞ)いて見ました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
平凡と俗悪の中に居て、人から注意を享けぬとなツては、もう駄目だね。朝に下宿を出る時は希望もあり、勇気もある。然しそれも職員室の扉(どあ)を開けるまでの事だ。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その中(うち)はまだよかつた、……汽車(きしや)は夜(よ)とともに更(ふ)けて行(ゆ)き、夜(よ)は汽車(きしや)とゝもに沈(しづ)むのに、少時(しばらく)すると、また洗面所(せんめんじよ)の扉(どあ)から、ひよいと顔(かほ)を出(だ)して覗(のぞ)いた列車(れつしや)ボーイが、やがて
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
が、厚い厚い扉(どあ)です。中は寂然(ひっそり)して何を為(し)て居るか分かりません。私は実に——
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
蹌踉として醉月の扉(どあ)を開けば
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
茶(ちや)の外套氏(ぐわいたうし)は、ぽく/\と立(た)つて、ガタンと扉(どあ)を開(ひら)いて出(で)た。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
訪ふものは扉(どあ)を叩(の)つくし
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)