成事なること)” の例文
も見ずににげさりけり斯ることの早兩三度に及びし故流石さすがの久八もいきどほり我が忠義のあだ成事なること如何いかにも/\口惜くちをしや今一度あうて異見せん者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
発句ほく案ずる事諸門弟題号の中より案じいだす是なきものなり、余所よそより尋来たずねきたればさてさて沢山成事なることなりといえり、予が云、我『あら野』『猿蓑さるみの』にてこの事を見出したり
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
成事なることならば薄暗き部屋のうちにれとて言葉をかけもせず我が顔ながむる者なしに一人気ままの朝夕をたや、さらばこのやうの憂き事ありとも人目つつましからずはかくまで物は思ふまじ
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其時共は餘程面白次第に而、東湖先生も至極丁寧成事なることにて、彼宅へ差越申候と、清水せいすゐに浴候鹽梅あんばいにて心中一點の雲霞なく、唯清淨なる心に相成、歸路をわすれ候次第に御座候。御遠察可下候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
さゝれぬ私し勿々なか/\以て然樣さやう成事なること思ひよらずおゆるし成されて下されと云まぎらすを忠兵衞はなほ種々さま/″\よりつゝやがて言葉をやはらげて言ひ出しけるは然云さういふ御前の心底しんてい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
後家のお光にまよひし故口走りたることならんと立たり居たり狂氣きやうきの如く悋氣りんきまじりにさわぐにぞ忠兵衞は更にいきたる心地もなく成事なることやと夜の目もあはさずはや翌日にも成りければ止事やむこと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)