懇望こんまう)” の例文
(二百四五十帋の自筆なり)かつて梱外こんぐわいいださゞりしを、狂哥堂真顔翁珎書ちんしよなれば懇望こんまうしてかの家より借りたる時亡兄ばうけいとともによみしことありき。
岡崎御坊へせうずる事が出来たら結構だと云ふので、呉服屋夫婦が熱心に懇望こんまうした所から、朗然らうねんと云ふみつぐさんの阿父おとうさんが、入寺にふじして来るやうに成つた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
さへりあげもせず錦野にしきの懇望こんまうあたかもよしれは有徳うとく醫師いしなりといふ故郷こきやうなにがしにはすくなからぬ地所ぢしよ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其上大洞にせよ自分にせよ、とほりならぬ関係があるので、懇望こんまうされて見ると何分にもいやと云ふことが言はれないハメのだから、此処こゝみ込んで承知して欲しいのだと
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
研屋五兵衞の懇望こんまうのまゝ諸大名は言ふまでもなく、公儀の御用までも取次ぎ、この十年の間に、めつきり研屋の暖簾のれんをよくしてやりましたが、五兵衞は女道樂と勝負事が好きで、最近二三年の間に
をかし行かれしとて思ふ如き鳥もかゝるまじまづ今日はやめに致し玉へ手柄は何時でもできる事と押止おしとゞめけれど思ひこみたる左京は更に聞き入れず思立しが吉日なり是非とも參りたしとたつての懇望こんまうなれば然程さほどに思はれなば兎も角もと手下の小賊せうぞく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(二百四五十帋の自筆なり)かつて梱外こんぐわいいださゞりしを、狂哥堂真顔翁珎書ちんしよなれば懇望こんまうしてかの家より借りたる時亡兄ばうけいとともによみしことありき。
庄司家の若樣林太郎が行方ゆくへ知れずになつた時は、主人平馬もお孃さんのお禮も、さすがに驚いた樣子でしたが、親類達の口入と、庄司右京の望みで、養子助十郎へそのまゝお禮を嫁にと懇望こんまうされると