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いきじ
ふりがな文庫
“
意気地
(
いきじ
)” の例文
旧字:
意氣地
榎本氏の
挙
(
きょ
)
は
所謂
(
いわゆる
)
武士の
意気地
(
いきじ
)
すなわち
瘠我慢
(
やせがまん
)
にして、その
方寸
(
ほうすん
)
の中には
竊
(
ひそか
)
に必敗を期しながらも、武士道の
為
(
た
)
めに
敢
(
あえ
)
て一戦を
試
(
こころ
)
みたることなれば
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「
媚態
(
びたい
)
」といい、「
意気地
(
いきじ
)
」といい、「
諦
(
あきら
)
め」といい、これらの概念は「いき」の部分ではなくて契機に過ぎない。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
「いずれは蔵人殿若い時分、武士の
意気地
(
いきじ
)
でなされた事であろう、——それにしても、三十一年を
距
(
へだ
)
てての敵討とは、古今、聞きも及ばぬことではないか」
銭形平次捕物控:087 敵討果てて
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いかにも昔、汝の父を、武士の
意気地
(
いきじ
)
で殺害はしたが、討ちつ討たれつは戦国の常、悪事をしたとは露思わぬ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「主家の没落に
遇
(
あ
)
って武士の
意気地
(
いきじ
)
を立てるには、そのほかに道もおざりませぬ。兄上、お察しくだされい」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
▼ もっと見る
彼女には意地が何よりの命で、
意気地
(
いきじ
)
を貫くという事がどれほど至難であり、どれほど快感であり、どれほど誇らしいものであるか知れないと思っているのであろう。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
たびたびいう通り人世は多数の人とともに乗り合う
渡船
(
わたしぶね
)
のごときものである。人とともにこの
世
(
よ
)
を渡るには、おだやかに
意気地
(
いきじ
)
ばらずに、譲り得るだけは譲るべきものと思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
意気地
(
いきじ
)
も張も葉がくれの
闇
(
やみ
)
に、男を思うあわれさよ。鶴を折る手と、中指に、
白金
(
プラチナ
)
の
白蛇
(
はくだ
)
輝く手と、合せた膝に、三筋五筋
観世捻
(
かんぜより
)
、柳の糸に、もつれ
縺
(
もつ
)
るる、鼓の緒にも染めてまし。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
又
(
また
)
私
(
わたくし
)
としても、いつまでお
爺
(
じい
)
さんにばかりお
縋
(
すが
)
りするのもあまりに
意気地
(
いきじ
)
がないように
感
(
かん
)
じましたので、よくよくの
重大事
(
じゅうだいじ
)
でもなければ、めったに
御相談
(
ごそうだん
)
はせぬことに
覚悟
(
かくご
)
をきめました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
この小増は
私
(
わし
)
が久しい馴染で、
斯
(
こ
)
ういう
廓
(
くるわ
)
には
意気地
(
いきじ
)
と云って、一つ屋敷の者で私に出ている者が、下役の貴公には出ないものじゃ、そこが意気地で、少しは
傾城
(
けいせい
)
にも義理人情があるから
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「野暮は垣根の外がまへ、三千楼の色
競
(
くら
)
べ、
意気地
(
いきじ
)
くらべや張競べ」というように、「いき」は媚態でありながらなお異性に対して一種の反抗を示す強味をもった意識である。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
その芝居へ出てくる、
葛城太夫
(
かつらぎたゆう
)
と、
丁山
(
ちょうざん
)
という二人の遊女が、吉原全盛期の、おなじ
張
(
はり
)
と
意気地
(
いきじ
)
をたっとぶ女を出して、太夫と二枚目、品位と
伝法
(
でんぽう
)
との型を対立させて見せてくれた。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
さて心の
剛柔
(
ごうじゅう
)
とは、すでに前に女という字についていえるごとく、善意にも悪意にも解せられる。剛が過ぎれば剛情となり、
頑固
(
がんこ
)
となり、
意気地
(
いきじ
)
となる。柔に過ぐれば
木偶
(
でく
)
となり、
薄志
(
はくし
)
弱行となる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
意気地
(
いきじ
)
と張りを命にして、張詰めた
溜涙
(
ためなみだ
)
をぼろぼろこぼすのと違って、細い、きれの長い、情のある
眦
(
まなじり
)
をうるませ、
几帳
(
きちょう
)
のかげにしとしとと、春雨の降るように泣きぬれ、
打
(
うち
)
かこちた姿である。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そうして、藤兵衛の情婦お
由
(
よし
)
の示す媚態とは絶好の対照をなしている。しかるにまた「いき」は、その徴表中に「
意気地
(
いきじ
)
」と「諦め」とを有することに基づいて、趣味の卓越として理解される。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
“意気地”の意味
《名詞》
(いくじ)物事をやり通そうとする気力。
(いきじ)いくじに同じ。いくじはいきじが変化。
(出典:Wiktionary)
意
常用漢字
小3
部首:⼼
13画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“意気地”で始まる語句
意気地無