恋愛れんあい)” の例文
旧字:戀愛
どうして、現在友愛塾におおいかぶさっている深刻な問題以上に、自分の心をなやますのか。女性とは、恋愛れんあいとは、いったい何だろう。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
不運ふうんにもかれ誘惑いうわくされたどくをんなだともおもへるのであつたが、しかし恋愛れんあい成立せいりつについては、かれくはしいことらなかつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そうして最近私を苦しめていた恋愛れんあい事件をそっくりそのままに書いてみたら、その苦しみそのものにも気に入るだろうし
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
恋愛れんあいとか愛とかいうものの相手としては自分のような何でも対蹠的たいしょてきに角突き合わなければ気の済まない性格の青年は
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そんな点から考えると、自分の母を恋うる気持はただ漠然ばくぜんたる「未知の女性」に対する憧憬どうけい、———つまり少年期の恋愛れんあい萌芽ほうがと関係がありはしないか。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
恋愛れんあいなどということただただばかげてるとばかり思っていたが、恋愛のとぼしい結婚はじつにばかげておった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
かれはその眼中がんちゅう社会しゃかい人々ひとびとをただ二しゅ区別くべつしている、義者ぎしゃと、不義者ふぎしゃと、そうして婦人ふじんのこと、恋愛れんあいのことにいては、いつもみずかふかかんってくのであるが
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いかにも精力的らしい体臭たいしゅうをぷんぷんさせながら、雑誌をめくり、適当な恋愛れんあい小説をみつけると、その一節を、こんな風に読みかえて、ぼくを嘲弄ちょうろうしようとしました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
『それは恋愛れんあいなのよ』
ただしそれは後の話で佐助は最初燃えるような崇拝すうはいの念を胸の奥底に秘めながらまめまめしく仕えていたのであろうまだ恋愛れんあいという自覚はなかったであろうし
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
同時に、内田さんが有名なスポオツマンの某氏と、恋愛れんあい結婚をしたとの話を聞きました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
恋愛れんあい関係において一方がさとってしまったら相手は誠に張合いの無いものとなります。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかし、これは、同じような立場に立たされた女性に対してだれでもが感じうる人間的感情を、ぼくがいくぶん強く感じたというまでのことで、断じて恋愛れんあいというべき性質のものではない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
さて自身じしんにはいまだ一恋愛れんあいちょうものをあじおうたことはいので。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
手紙てがみ往復わうふくによつて、さうした恋愛れんあい成立せいりつしたらしいのであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
それで男も女も恋愛れんあいかんする趣味しゅみにはなんらの自覚じかくもなかった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
後年、ぼくは、る女達と、もっと恋愛れんあいらしい肉体的な交際を結びました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
ぼくの生活理想も、恋愛れんあいも。……そしておそらくそれは将来にもながくを引くことであろう。いや、あるいはぼくの一生がすでにそれによって決定されてしまっているのかもしれないのだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)