性懲しょうこ)” の例文
と、ひとり合点がてんをして泣き虫の蛾次郎、せばよいのに性懲しょうこりもなく、また悪戯心いたずらごころをおこして、竹童の後からピタピタとついていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なんだい、この餓鬼がきアッ! またこんなところに灰をまきゃアがって! ほんとに、ほんとに性懲しょうこりのねえ野郎だよ。ちゃんにそっくりだッ!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
文「弱い奴だなア、改心するなどと申して此の場を逃延にげのびて、又候またぞろ性懲しょうこりもなく悪事をした事が文治郎の耳に入れば助ける奴でない、天命と思って死ね」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かくも性懲しょうこりなくふらつき出すのは、他の好むと好まざるとにかかわらず、白業黒業びゃくごうこくごうが三世にわたって糸を引く限り、消さんとしても消ゆるものではあるまい。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
性懲しょうこりもなくかれらの冥土の湖で——、そこには水草はほとんどないけれども蛙は生きているのだが
性懲しょうこりもなく、代変りを入れるところから推すと、賢夫人も千々子さまも、ハークネスのことをあきらめられず、苦しいなかで受入れの態勢を整え、いつともあてのない訪問を
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それが世間の問題になりかけた時、マニラ生れの日本人だと云う歌劇の一座が来たのです、私は性懲しょうこりもなくまたその座頭ざがしらだと云う女優に眼をつけて、それに関係をつけたのですが
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「なあに、死にあしねえよ——が、どこまでも、性懲しょうこりのねえ奴等だ——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
可笑おかしいことには、この花屋の兄弟はとても仲が悪くて、夏場だけはおたがい仲好なかよさそうに口をき合いながら商売をしているが、さて夏場が過ぎてしまうと、すぐに性懲しょうこりもなく喧嘩けんかをし始め
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
性懲しょうこりのないやからよ、早く此処ここを去るがよい。」
花桐 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「二名は、性懲しょうこりもない、叡山えいざんの僧であります。もう一名は、三好の残党で、法体ほったいはしておりましたが、僧ではありません」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まだ来る気かっ、性懲しょうこりもねえ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
どうも、よくよくぼくは性懲しょうこりのない男とみえる。従来、こういうばかさを何度やってるかわからない。そして、おおむね旅行先でのしくじりなのだ。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
性懲しょうこりもなく、また飛び起きて来た好色なおやじは、猫が小鳥へかかるように、ぬッと舟べりへ出て来ましたが、同じ怒りたけるにしても、彼がそうして追い廻すことは
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「逃げ上手の卑怯者め。また性懲しょうこりもなく出てきたか」と、駒をとばして来た。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
性懲しょうこりもなくまたやッて来たか。して、約束の貴様の名分はどう立てる?」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俳優やくしゃや、職人や、芸妓げいしゃ落語家はなしかにいたるまでも、水の低きに落ちるように流れて来て、二、三年もそこに居着くと、またしても江戸人種は、性懲しょうこりもなく、江戸前の飲食店だの、団十郎芝居だの
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
性懲しょうこりもない奴らだ。さきの隅田、高橋の大敗も見たろうに」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「えい、性懲しょうこりもねえ痩犬め、新九郎はここにいる」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(まだ性懲しょうこりもつかないのか)
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ほ。……性懲しょうこりもなく」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
性懲しょうこりもなく」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)