御閑おひま)” の例文
三日目の日暮ひくれに下女が使に来て、御閑おひまならば、旦那様と奥さまと、それから若旦那様に是非今晩御遊びにいらっしゃるようにと云って帰った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぴつ申入候もうしいれそろ過日御約束致置候いたしおきそろ中川漁船こうの儀は来月四日と致度いたしたくついては釣道具大半なかば破損致し居候間おりそろあいだ夜分にても御閑おひまの節御入来之上ごじゅらいのうえ右釣道具御繕おんつくろい直し被下候様奉願上候くだされたくねがいたてまつりそろ
「もし、御閑おひまならば、小野さんにいっしょに行っていただいて勧工場かんこうばででも買って来いと申しましたから」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ことさらに平気と愉快を等分に加味した顔をして「それは面白いでしょうしかし……」「御勉強で御忙しいでしょうが今度の土曜ぐらいは御閑おひまでいらっしゃいましょう」
自転車日記 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二日ふつかゆきつただけ何事なにごともなくぎた。三日目みつかめ日暮ひくれ下女げぢよ使つかひて、御閑おひまならば、旦那樣だんなさまおくさまと、それから若旦那樣わかだんなさま是非ぜひ今晩こんばん御遊おあそびにらつしやるやうにとつてかへつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
寒月君はもうい加減な時分だと思ったものか「どうも好い天気ですな、御閑おひまならごいっしょに散歩でもしましょうか、旅順が落ちたので市中は大変な景気ですよ」とうながして見る。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから二三にちして、たしか七日なぬか夕方ゆふがたに、またれい坂井さかゐ下女げぢよて、もし御閑おひまならうぞ御話おはなしにと、叮嚀ていねい主人しゆじんめいつたへた。宗助そうすけ御米およね洋燈らんぷけて丁度ちやうど晩食ばんめしはじめたところであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから二三日して、たしか七日なぬかの夕方に、また例の坂井の下女が来て、もし御閑おひまならどうぞ御話にと、叮嚀ていねいに主人の命を伝えた。宗助と御米は洋灯ランプけてちょうど晩食ばんめしを始めたところであった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)