御神おんかみ)” の例文
神職 いや布気田ふげた、(禰宜の名)払い清むるより前に、第一は神の御罰ごばつ、神罰じゃ。御神おんかみ御心みこころは、仕え奉るかんぬしがよく存じておる。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は年来非道を行ひて、なほこの家栄え、身の全きを得るは、まさにこの信心の致すところと仕へ奉る御神おんかみ冥護みようごかたじけなみてかざるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
現身うつつみさながら御神おんかみとして、崇められまするでござりましょう! ……御栄みさかえあれ皇子様御栄えあれ!
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
順道じゆんたうなれば、今頃は既に、藤原の氏神河内の枚岡ひらをか御神おんかみか、春日の御社みやしろに仕へてゐるはずである。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
征伐せいばつあられしも悉々こと/″\く此八幡宮の神力しんりきに因所なればじつに有難き御神おんかみなり然ば末代まつだいに至る迄此御神を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
人のもてあそびの腐れただよごれものが、かけまくもかしこき……清く、美しき御神おんかみに、嫉妬しっとねがいを掛けるとは何事じゃ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勸請し奉つり本朝ほんてう武家ぶけの祖神なり就中源家に於てはことほか御尊敬ごそんきやうあること御先祖ごせんぞ八幡太郎義家公此御神おんかみの御寶前に於て御元服あつて八幡太郎としよう奧羽あうう夷賊いぞく安倍貞任同宗任を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
でもおまえさまは、尊い御神おんかみに仕えている人だ。おれのからだに、触ってはならない。そこに居るのだ。じっとそこに、踏みとまって居るのだ。——ああおれは、死んでいる。死んだ。殺されたのだ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
たちまち心づきて太刀を納め、おおいなる幣を押取おっとって、飛蒐とびかかる)御神おんかみはらいたまえ、浄めさせたまえ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
丑童子うしどうじまだら御神おんかみ、と、一心に念じて、傍目わきめらないで、みつめていると、その丑の年丑の月丑の日の……丑時うしどきになると、その鏡に、……前世から定まった縁の人の姿が見える
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)