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御神剣
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ごしんけん
後で
御伺いすると、あの
場合、
命が
御難儀を
脱れ
得たのは、
矢張りあの
御神剣のお
蔭だったそうで、
燃ゆる
火の
中で
命がその
御鞘を
払われると
同時に
右の
御神剣と
申すのは、あれは
前年わざわざ
伊勢へ
参られた
時に、
姨君から
授けられた
世にも
尊い
御神宝で、
命はいつもそれを
錦の
袋に
納めて、
御自身の
肌身につけて
居られました。
その
時たちまち、
右手に
高く、
御秘蔵の
御神剣を
打り
翳し、
漆の
黒髪を
風に
靡かせながら、
部下の
軍兵どもよりも十
歩も
先んじて、
草原の
内部から
打って
出でられた
命の
猛き
御姿、あの
時ばかりは