彼奴等きゃつら)” の例文
れはこまった、今彼処あそこで飲むと彼奴等きゃつらが奥にいって何か饒舌しゃべるに違いない、邪魔な奴じゃと云う中に、長州せい松岡勇記まつおかゆうきと云う男がある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それは彼奴等きゃつらに対して、この上もないブベツ弾になるのだ。殊にコンクリートの壁はそれを又一層高々と響きかえらした。
独房 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
チッバ おれ附着くッついてう、彼奴等きゃつらだんじてくれう。……(ベンヺーリオーらに)諸氏かた/″\機嫌きげんよう。一ごんまうしたうござる。
ところが、かえって、悪人ばらの陥穽かんせいに墜ちて、この炭焼小屋のかまの中に抛り込まれて、彼奴等きゃつらの眼前で、蒸焼きにされてしまうところだった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼奴等きゃつらは皆、揃いも揃った人畜生にんちくしょうばかりですな。一人として、武士の風上かざかみにも置けるような奴は居りません。」
或日の大石内蔵助 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
場所をギッシリ書き入れた海図をにらんで「モウわかった。彼奴等きゃつらの根拠地と、通信網と、速力がわかった」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
だが今度の暗殺事件が、ちょっとでも下手に行こうものなら、さま彼奴等きゃつらは、君の自由を奪ってしまうだろう。ところで、今度の大将は、中々したたかものだ。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
師範出の杉田というのがいやにいばるのがしゃくにさわるが、自分は彼奴等きゃつらのように校長になるのをゆい一の目的に一生小学校に勤めている人間とは種類が違うのだと思うと
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
彼奴等きゃつらここで一体何をしようというのかと、息もせず、瞬きもせず、静まり返って控えていた。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「やはり先生避暑にでも行ってるのだろうが、何と云っても彼奴等きゃつらはいゝ生活をしているな」
子をつれて (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
殺されて、そうして、彼奴等きゃつらよりなお醜い瓜かじりのほっかけ地蔵を並べれば可いんです。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『そうばかりも成りますまい、彼奴等きゃつらは、あわよくば、大石殿を初め、同腹のおもなる者を、闇討ちしてしまおうという企みさえ抱いて居りますのに』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると彼は、あいつ(前に捕まった仲間)がしゃべったからだ、一体一言でも彼奴等きゃつらの前でしゃべるなんて「君、統制上の問題だぜ!」と云いかえした。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
サン それ、彼奴等きゃつらの「はち」を打破ぶちわってくれうわい。意味いみ如何樣どのやうにもらっせいよ。
……彼奴等きゃつらはいつもコンナ当てズッポー式の見込捜索をやるから困る。当り前に動かぬ証拠を押えて来るとなれば、百年かかってもここへって来る筈は無いのに……チエッ……。
冗談に殺す (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いや、却って、彼奴等きゃつらに乗るようなものじゃ。われ不関焉かんせずえんであればよい、柳に風と横向いているに限る
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼奴等きゃつらは教育家じゃない。タダの事務員に過ぎないのだ。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
猿が、中で暴れるのを、俺が苦悶するものと思って、彼奴等きゃつらは、凱歌がいかをあげて引き揚げた。それから後、おれはこの小屋に、樵夫きこりとなって同居しながら、含月荘の探索をつづけていた……
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼奴等きゃつらも、すこし焦躁あせって来たな』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)