年老としよ)” の例文
『僕も年老としよつて飲酒家さけのみになつたら、ああでせうか? 実に意地が汚ない。目賀田さんなんか盃より先に口の方を持つて行きますよ。』
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
国にいる年老としよった母親から来る手紙に、下宿へ出る前後から、まだ一度も返辞を書かなかったことなども、時々笹村の心を曇らした。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「こんなに年老としよるまで、自分じぶんこづゑで、どんなにお前のためにあめかぜをふせぎ、それとたゝかつたかれない。そしておまへ成長せいちやうしたんだ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
からすの大監督は、もうずゐぶんの年老としよりです。眼が灰いろになつてしまつてゐますし、くとまるで悪い人形のやうにギイギイひます。
烏の北斗七星 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
懐かしさうに私の手を取つたのは、年老としよつた主婦のお文さんであつた。この人が生きてゐてくれなかつたら、折角せつかく訪ねて来ても、私には取附端がないのである。
念仏の家 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
あるのこと、すずめはいっしょに、なみうえびまわってあそんでいた、年老としよったしらさぎにわかれをげて、三ねんぜん、こまどりとあった野原のはらをさしてんできました。
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
御会ごえしゃく、度々、痛み入り候、老生、あいにく先頃より風邪ぎみ、年老としよりの水ばなよりは、清純一枝の芍薬こそ、諸君子の旅情を慰め申すに足るべく、被存ぞんぜられ候まま、花に花持たせて
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
向ふの低い松の木から、さっきの年老としよりの坊さんの梟が、斜に飛んでさっきの通り、説教の枝にとまりました。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
路傍に呼び出された郷の年老としよりや庄屋などから、信長の問いに対して、再び
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
向うの低い松の木から、さっきの年老としよりの坊さんの梟が、斜に飛んでさっきの通り、説教の枝にとまりました。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
年老としよりたちも、皆いった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あすこをのぼるとき又さっきの年老としよりがね、前の若い人のシャツを引っぱったんだ。怒っていたねえ。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そのまっ赤なのくまが、じつに奇体きたいに見えました。よほど年老としよりらしいのでした。
かしわばやしの夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
からすの大監督だいかんとくはなおさらうごきもゆらぎもいたしません。からすの大監督は、もうずいぶんの年老としよりです。が灰いろになってしまっていますし、くとまるで悪い人形のようにギイギイいます。
烏の北斗七星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「そうが。生きもので皺うんと寄ってらば、年老としよりだな。」
鹿踊りのはじまり (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「さうが。ぎものでしわうんとつてらば、年老としよりだな。」
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「うん年老としよりの番兵ばんぺいだ。ううはははは。」
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
よほどの年老としよりらしいのでした。
かしはばやしの夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)