トップ
>
平坦
>
たいら
ふりがな文庫
“
平坦
(
たいら
)” の例文
その日は何にも乗らずに学校まで歩くことにして、日本橋の通りへかからずに、長い本材木町の
平坦
(
たいら
)
な道を真直に取って行った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
只今は川岸の土が崩れて余程
平坦
(
たいら
)
になりましたが、其の頃は削りなせる
断崖
(
がけ
)
で、
松柏
(
しょうはく
)
の根株へ
頭
(
かしら
)
を打付け、脳を破って血に染ったなり落ると、下を通りかゝったは荷足船で
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私
(
わたくし
)
はどこに一
点
(
てん
)
の
申分
(
もうしぶん
)
なき、
四辺
(
あたり
)
の
清浄
(
せいじょう
)
な
景色
(
けしき
)
に
見惚
(
みと
)
れて、
覚
(
おぼ
)
えず
感歎
(
かんたん
)
の
声
(
こえ
)
を
放
(
はな
)
ちましたが、しかしとりわけ
私
(
わたくし
)
を
驚
(
おどろ
)
かせたのは、
瀑壺
(
たきつぼ
)
から四五
間
(
けん
)
ほど
隔
(
へだ
)
てた、とある
平坦
(
たいら
)
な
崖地
(
がけち
)
の
上
(
うえ
)
に
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
可成り広い池の
対岸
(
むこうがわ
)
に、
自然石
(
じねんせき
)
を畳んで、幅二間、高さ四間ほどの岩組とし、そこへ、幅さだけの滝を落としているのであって、
滝壺
(
たきつぼ
)
からは、霧のような
飛沫
(
しぶき
)
が立っていたが、池の水は
平坦
(
たいら
)
に澄返り
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
友達に別れると、
遽然
(
にわかに
)
相川は気の
衰頽
(
おとろえ
)
を感じた。和田倉橋から一つ橋の方へ、
内濠
(
うちぼり
)
に添うて
平坦
(
たいら
)
な
道路
(
みち
)
を帰って行った。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
あれから吾妻川の
真中
(
まんなか
)
の
所
(
とこ
)
へずうと一体に
平坦
(
たいら
)
な岩が
突出
(
つきだ
)
して居て、
彼処
(
あすこ
)
の上へずっとフランケットを敷いて、月の時に一猪口やったら宜うがしょう、なんぼ地税が出ねえたって
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
雑木林や
平坦
(
たいら
)
な耕地の多い
武蔵野
(
むさしの
)
へ来る冬、浅々とした感じの好い都会の霜、そういうものを見慣れている君に、この山の上の霜をお目に掛けたい。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
裏道づたいに捨吉は
平坦
(
たいら
)
な街道へ出た。そこはもう東海道だ。旅はこれからだ。そう思って、彼は
雀躍
(
こおどり
)
して出掛けた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
講演の始まる日には、捨吉は菅と同じように短い
袴
(
はかま
)
をはいて、すこし早めに寄宿舎の出入口の階段を下りた。互いに肩を並べて
平坦
(
たいら
)
な運動場の内を歩いて行った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
彼処
(
あすこ
)
に子供が三人居るんだ」——この
思想
(
かんがえ
)
に導かれて、
幾度
(
いくたび
)
か彼の足は小さな墓の方へ向いた。家から墓地へ通う
平坦
(
たいら
)
な
道路
(
みち
)
の両側には、すでに新緑も深かった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この人達の働くあたりから岡つづきに上って行くとこう
平坦
(
たいら
)
な松林の中へ出た。刈草を
負
(
しょ
)
った男が林の間の細道を帰って行った。日は
泄
(
も
)
れて、湿った草の上に
映
(
あた
)
っていた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
激しい気候を相手にする山の上の農夫に比べると、この空の明るい、土地の
平坦
(
たいら
)
な、柔い雨の降るところで働くことの出来る人々は、ある一種の
園丁
(
にわづくり
)
のように私の眼に映った。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして母と顔を見合せて
微笑
(
ほほえ
)
んだ。母は乳呑児を
負
(
おぶ
)
ったまま
佇立
(
たたず
)
んでいた。お菊は復た麦だの
薩摩芋
(
さつまいも
)
だのの作ってある
平坦
(
たいら
)
な耕地の間を帰ったが、二度も三度も振向いて見た。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼の気質は普通の
平坦
(
たいら
)
な道を歩かせなかった。乏しい旅費を
懐
(
ふところ
)
にしながら、彼は遠く北海道から
樺太
(
からふと
)
まで渡り、
空
(
むな
)
しくコルサコフを引揚げて来て、青森の
旅舎
(
やどや
)
で
酷
(
ひど
)
く
煩
(
わずら
)
ったこともあった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
坦
漢検準1級
部首:⼟
8画
“平坦”で始まる語句
平坦地
平坦部