“布(ふ)” の例文
すべて、海上(かいじやう)の規則(きそく)では、船(ふね)の出港(しゆつかう)の十分(ぷん)乃至(ないし)十五分(ふん)前(まへ)に、船中(せんちう)を布(ふ)れ廻(まは)る銅鑼(どら)の響(ひゞき)の聽(きこ)ゆると共(とも)に本船(ほんせん)を立去(たちさ)らねばならぬのである。
オノリイヌ——奥さんは、だけど、布(ふ)きんのあてようがちょっくら間違ってたぐらいで、わしに暇をくれようっていうつもりは多分おあんなさるまい。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
まして彼等が顔をそむけて乃公を悪人と言い布(ふ)らすんだからサッパリわからない。それで想い出したが、大アニキが乃公に論文を書かせてみたことがある。
狂人日記 (新字新仮名) / 魯迅(著)
するとそれを侍たちは鞭(むち)を上げて追いかけ、勅勘(ちょっかん)の流人(るにん)が布(ふ)れる説教を聞くやつ輩(ばら)は同罪に処すぞ! ——こう呶鳴りながら、追いまわすのでございました
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乙 んじゃ、この足でわし等布(ふ)れて歩くべえ。頼んだよ、仙太さ!
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
「お父アん、お起きなさいツて」と云ひ布(ふ)れて來る。
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
彼が持っていた抱負、志向、希望、前途がただ一筆で棒引されてしまった。閑人のお布(ふ)れが行届(ゆきとど)いて、小D、王鬍などに話の種を呉れたのは、やっぱり今度の事であった。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
最早(もはや)袂別(わかれ)の時刻(じこく)も迫(せま)つて來(き)たので、いろ/\の談話(はなし)はそれからそれと盡(つ)くる間(ま)も無(な)かつたが、兎角(とかく)する程(ほど)に、ガラン、ガラ、ガラン、ガラ、と船中(せんちゆう)に布(ふ)れ廻(まは)る銅鑼(どら)の響(ひゞき)が囂(かまびす)しく聽(きこ)えた。
乙 んじゃ、この足でわし等布(ふ)れ歩くべえ。頼んだよ、仙太さ!
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
けれど鄒七嫂は次の日あの藍袴を黒色に染め替えて阿Qの疑うべき節を言い布(ふ)らして歩いた。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)