島山しまやま)” の例文
王子おうじ宇治うじ柴舟しばぶねのしばし目を流すべき島山しまやまもなく護国寺ごこくじ吉野よしのに似て一目ひとめ千本の雪のあけぼの思ひやらるゝにやここながれなくて口惜くちおし。
おきなる島山しまやまいたゞき紫嵐しらんつゝまれ、天地てんちるとして清新せいしんたされてときはま寂寞じやくばくとしていつ人影じんえいなく、おだやかにせてはへすなみろう
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
海の水平線は画幀がとうの上部を狭くかぎって、青灰色の天空が風に流れている。そこには島山しまやまの噴煙がなびき、雲がっている。
許宣は独りで往くことにして、舟を雇い、上流約一里の所にある金山寺の島山しまやまへ往った。揚子江の赤濁あかにごりのした流れを上下して金山寺へ往来する参詣人の舟が水鳥の群れたように浮んでいた。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
われはララと共に飛行して、大海の上を渡りゆきぬ。海の中には一の島山しまやまありき。その山の巓はいと高きに、われ等は猶おん身の物思はしげなる面持して石に踞して坐し給ふを見ることを得つ。
めぐりつつそはをし来れば島山しまやま天草あまくさうみひらけたり見ゆ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)