山林やま)” の例文
それも、先の見込みがありや、山林やまを売つてゞも、こいつらを養つとくだけど、今んところ、温泉は出る見込がなし、土地も売れたつて話は聞かず……。
浅間山 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
線路レールの枕木を切り出す山林やまを見に、栗山くりやまの方へ、仲間と一緒に出向いて行った。大分つかい込みの出来た叔父は一層もうけ口を見脱みのがすまいとしてあせっていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
もつとも三ねんつくつちやにやかねえが、とき以前もと山林やまになんだから可怖おつかねえこともなんにもねえのよ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
夫れ大人ひじりのりを立つる、ことわり必ず時に随ふ。いやしくも民にくぼさ有らば、何ぞ聖造ひじりのわざたがはむ。まさ山林やま披払ひらきはら宮室おほみや経営をさめつくりて、つゝしみて宝位たかみくらゐに臨み、以て元元おほみたからを鎮むべし。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
なアに葬式とむらいがありましてねえ、何う云う訳か此の山へ立派なうちが建ちましたが、何だか元お大名の御家老様でえらい高をとった人だそうで、それが田地でんじ山林やまを買って何不足はねえが
しかも主人あるじひどく気に入っていて、それがために自分がここへ養子に入れて、生活状態くらしざまの割には山林やまやなんぞの資産の多いのをゆずり受けさせようと思っている我が甥がここへ入れないのであるから
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
山林やまへ入ったんじゃなかったのか」
肌色の月 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
はうてえに洪水みづつてかれてばかしとこんのに山林やまんなかでこめとれるなんて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)