寶石はうせき)” の例文
新字:宝石
他愛たわいなくかしらさがつたとふのは、中年ちうねん一個いつこ美髯びぜん紳士しんしまゆにおのづから品位ひんゐのあるのが、寶石はうせきちりばめたあゐ頭巾づきんで、悠然いうぜんあごひげしごいてた。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あれこそなさけのひとつぼし、空には、めうとも、こひびとも、心變こゝろがはりのないものか。」涙ながらに、金星きんせいを仰いで見れば、寶石はうせきの光のやうにきらめくが、憎らしいぞや、雲めが隱す
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
嚠喨りうりやうたるその明光めいくわうり來るなんぢ寶石はうせき
熱沙ねつしやあぶられるこの寶石はうせき
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
拂底ふつてい蝋燭らふそくの、それもほそくて、あなおほきく、しんくらし、かずでもあればだけれども、祕藏ひざうはこから……しておぼえはないけれど、寶石はうせきでも取出とりだすやうな大切たいせつな、その蝋燭らふそく
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)