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寶石
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はうせき
他愛なく
頭が
下つたと
云ふのは、
中年の
一個美髯の
紳士、
眉におのづから
品位のあるのが、
寶石を
鏤めた
藍の
頭巾で、
悠然と
頤の
其の
髯を
扱いて
居た。
「あれこそなさけのひとつ
星、空には、めうとも、こひびとも、
心變りのないものか。」涙ながらに、
金星を仰いで見れば、
寶石の光のやうにきらめくが、憎らしいぞや、雲めが隱す
嚠喨たるその
明光を
假り來る
汝寶石よ
熱沙の
膏に
凝れるこの
寶石
拂底な
蝋燭の、それも
細くて、
穴が
大きく、
心は
暗し、
數でもあればだけれども、
祕藏の
箱から……
出して
見た
覺えはないけれど、
寶石でも
取出すやうな
大切な、その
蝋燭の