宿賃やどちん)” の例文
代金だいきんだれがきめたものか、いづこも宿賃やどちん二三百円びやくゑんのぞいて、をんな収入しうにふきやく一人ひとりにつき普通ふつうは三百円びやくゑんから五百円ひやくゑん、一ぱく千円せんゑん以上いじやうだとふ。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
あくる朝、指物師さしものし宿賃やどちんをはらって、あのテーブルを背中せなかにしょいました。もちろん、にせものをもっていようなどとはゆめにも知らず、たびをつづけていきました。
そのわずかな宿賃やどちんも、はらうことができませんので、マタンは一さくを案じ出して、宿屋やどやの主人からノミとツチを借り、木ぐつをつくって、金のかわりに、それではらうことにしました。
名なし指物語 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
あめも相当そうとうれて宿賃やどちんにもこまらずにすみましたが、都会とかいは、田舎いなかとちがって空気くうきのよくないことや、のんきにらされないので、いろいろそんなことが原因げんいんとなって、おじいさんは
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ははは。宿賃やどちんがないというご心配じゃろ。それくらいなら泊めはせん」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あっちと同じでいいのよ。お願いするわ。宿賃やどちんだけ余計になるけど。」と言いながら、道子は一歩一歩男を橋向はしむこうの暗い方へと引ッ張って行こうとする。
吾妻橋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
マタンはまだ、宿賃やどちんをはらってありませんでした。
名なし指物語 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「あつちとおなじでいゝのよ。おねがひするわ。宿賃やどちんだけ余計よけいになるけど。」とひながら、道子みちこ一歩一歩ひとあしひとあしをとこ橋向はしむかうくらはうへとつてかうとする。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)