客人きゃくじん)” の例文
「それではまず客人きゃくじんたちに、わたしのすすめるさけんでもらって、それからこんどはわたしがごちそうになることにしよう。」
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「広島の客人きゃくじんは、まるきり、自分が間男したみたいな、心配そうな顔しとるなあ。それとも、広島で、間男でもして、逃げて来たのかね?」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
ことにこの特長の発達している私には食後の大儀たいぎなこと、客人きゃくじんの前の長時間などは、つくづくこの女子にのみ課せられた窮屈きゅうくつ風習ふうしゅうりてます。
女性の不平とよろこび (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
で、さっそく王女は、この新来しんらい客人きゃくじんが、ほかのれんじゅうとはまったくかわっていることに気がつきました。
老主人チャンは、かごの小鳥にえさをやっていたが、店の方をふりかえって、びっくりした。珍らしい客人きゃくじんである。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
高い寿司には高いだけの理由があって、むやみに金ばかり取るのは、どこにもないようだ。寿司の相場も実のところ味覚に通じた客人きゃくじんが決めているともいえる。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
乳母 はい/\、只今たゞいま!……さゝ、まゐりましょ。お客人きゃくじんみなもうかへってしまはッしゃれた。
「これはやはり、おまえが客人きゃくじん部屋へやにいって、どういうわけでこんな奇怪きかいなことが起こったのか、よくよくわけをきかしてもらってくるのが、いちばんいい方法ほうほうじゃないかね」
「仰っしゃったな。花栄かえい客人きゃくじんはまだお目がめぬらしい。一ト矢、ご馳走申せ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
客人きゃくじん何もはぬ。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
下人 おかたさま、お客人きゃくじんわたらせられ、御膳部ごぜんぶました、貴下こなたをばおめしひいさまをばおたづね、乳母おんばどのはお庖厨だいどころ大小言おほこゞとなにもかも大紛亂おほらんちき小僕わたくしめはこれからお給仕きふじまゐらにゃなりませぬ。
「いや、ごもっともで。」と、そのりっぱな客人きゃくじんはいいました。「たぶんごしょうちでしょう。なにしろこのとおり、からだができましてね。おいおい肉がつき、衣服いふくも身にそったというわけです。 ...
そして、副長の命令により客人きゃくじんのため室を用意するようにいった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
カピ長 こゝにいてあるだけの客人きゃくじん招待せうだいせい。……
三人の客人きゃくじん
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)