姫神ひめがみ)” の例文
ただしそれがうあろうとも、この御二方おふたかたってもれぬ、ふか因縁いんねん姫神ひめがみであらせられることはたしかでございます。
あのおくはるか燈明臺とうみやうだいがあるといふ。をかひとつ、たかもりは、御堂みだうがあつて、姫神ひめがみのおにはといふ。をかについて三所みところばかり、寺院じゐんむねと、ともにそびえたしげりは、いづれも銀杏いてふのこずゑらしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
微妙いみじ姫神ひめがみ、余りの事の霊威にうたれて、一座皆ひざまずいて、東の空を拝みました。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
微妙いみじ姫神ひめがみあまりのこと靈威れいゐうたれて、一座いちざみなひざまづいて、ひがしそらをがみました。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
姫神ひめがみ——明神は女体にまします——夕餉ゆうげの料に、思召しがあるのであろう、とまことに、平和な、安易な、しかも極めて奇特なことばが一致して、裸体の白い娘でない、御供ごくを残してかえったのである。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あとはどう来たか、こわい姿、すごい者の路をさえぎってあらわるるたびに、娘は私を背後うしろかばうて、その鎌を差翳さしかざし、すっくと立つと、よろうた姫神ひめがみのように頼母たのもしいにつけ、雲の消えるように路が開けてずんずんと。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あゝ、其のけんみねの雪の池には、竜女りゅうじょ姫神ひめがみおはします。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)