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奸策
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かんさく
ふりがな文庫
“
奸策
(
かんさく
)” の例文
こないだ差し上げた手紙は、とても、ずるい、蛇のような
奸策
(
かんさく
)
に満ち満ちていたのを、いちいち見破っておしまいになったのでしょう。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いかに巧妙な
奸策
(
かんさく
)
であるかがわかります。驚くの外ありません。世間の疑問、憤怒、探索をルパン一人に背負わせているんです。
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
それが、かねて弁円から聞いていることによって
叡山
(
えいざん
)
の卑劣な
奸策
(
かんさく
)
が大きな動因となっているのをよく知っているからである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを見ながら叔父は腹の中でいろんな
奸策
(
かんさく
)
を立て直しつつ、お客の株を売ったり買ったりして、悪銭をカスッている事が私によくわかった。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
二人の情通露見したる時に、朋輩勘十郎の
奸策
(
かんさく
)
同時に落ち来りて、清十郎が
布子
(
ぬのこ
)
一枚にて追払はるゝ段より、お夏の愛情は一種の神韻を帯び来れり。
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
酒井侯の示唆による一ノ関の
奸策
(
かんさく
)
は、まったくこの壊疽の毒に等しい。いま
断乎
(
だんこ
)
たる手段をとらなければ、毒は全身に廻って救い難いことになるだろう。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そいつの
奸策
(
かんさく
)
が私をおびきこんで人殺しをさせ、そいつのたてた声が私を絞刑吏に引渡したのだ。その怪物を私はその墓のなかへ塗りこめておいたのだった!
黒猫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
がもとよりその感動を、彼はすぐに後悔した——ことに、夫の気弱さと妹の
奸策
(
かんさく
)
とに腹をたてたポアイエ夫人を、いろいろなだめなければならなかったときに。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そこで、そのつぎには数十円を供えたれば、包みの中に一銭もなく、全く取られてしまったということだ。後に調べてもらったれば、盗賊の
奸策
(
かんさく
)
であったそうだ。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
かれははじめてそれが手塚の
奸策
(
かんさく
)
だと知ったのである。かれは立ちあがってかれらのあとを追いかけようと思った。が足の痛みは骨をえぐられるようにはげしい。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
鳥の身体が空気枕の
様
(
よう
)
に膨らんでいれば誰にでも直ぐその
奸策
(
かんさく
)
を見付けられるけれども、鳥の身体へ空気を強く吹込むと筋肉間の薄い膜を破って空気は小さな
隙間
(
すきま
)
へ進入する。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
詐欺師や
香具師
(
やし
)
の品玉やテクニックには『永代蔵』に
狼
(
おおかみ
)
の黒焼や
閻魔鳥
(
えんまちょう
)
や
便覧坊
(
べらぼう
)
があり、
対馬
(
つしま
)
行の煙草の話では不正な輸出商の
奸策
(
かんさく
)
を喝破しているなど現代と比べてもなかなか面白い。
西鶴と科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
男子、事に当ってはつねに正々堂々、よしや悪を懲らすにしても女々しき
奸策
(
かんさく
)
を避けてこそ本懐至極じゃ。天下御名代のお身でござる。愚か致しましたら、竜造寺家のお名がすたり申しましょうぞ
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
何
(
いず
)
れも皆深切の情に出ることにして、
敢
(
あえ
)
て
奸策
(
かんさく
)
とは云うべからず。
故社員の一言今尚精神
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
神よ、私は俗人の
奸策
(
かんさく
)
ともない奸策が
我が祈り:小林秀雄に
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
それは継母の
奸策
(
かんさく
)
の為めであつた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
あれを陽なたに出せば、
奸策
(
かんさく
)
歴然ですから、いかに高家たりとも文句は
噫
(
おくび
)
にも出せないはずと、てまえは固く信じまする
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金の損失は——それを彼はだれにも一言も漏らさなかったが——ごく
僅少
(
きんしょう
)
な額だった。しかしジャンナン氏がある
奸策
(
かんさく
)
家と接触するようになってからは、様子が違ってきた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「いかに、母を奪うために、子のなした情の上のことたりといえ、その
奸策
(
かんさく
)
、その卑劣、やわか生かしておくべき」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さきに、
奸策
(
かんさく
)
をえがいていた
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
が、こんどは、
狡智深謀
(
こうちしんぼう
)
な家康と、どう手を組んでくるだろうか。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三法師君を飾りものに抱いて、実は羽柴筑前というつまらぬ男に、御一門や諸侯の辞儀を故意に
強
(
し
)
いたる汝の
奸策
(
かんさく
)
であったにちがいあるまいが。……いや、そうだ。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『はい。たとえ先に
奸策
(
かんさく
)
があったにせよ、不覚はどこまでも不覚です。これから行って、長国寺の大吊鐘を斬ったところで、まだまだ、きょうの自分の気持は
拭
(
ぬぐ
)
われません』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『公平でないっ。今日の刀試しには、公然と、
奸策
(
かんさく
)
が行われていると存じます!』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この伊那丸に恩義を売りつけ、柴田が配下に立たせよう
計
(
はか
)
りごとか、または、
後日
(
ごじつ
)
に、人穴城をうばおうという汝らの
奸策
(
かんさく
)
、この伊那丸は
若年
(
じゃくねん
)
でも、そのくらいなことは、あきらかに読めている
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いうまでもなく、恋と慾の
二道
(
ふたみち
)
をかけている、
旅川周馬
(
たびかわしゅうま
)
の
奸策
(
かんさく
)
である。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長政はこれにおるが、何も知らぬ
幼児
(
おさなご
)
の
生命
(
いのち
)
を
扼
(
やく
)
して、ものをいおうとは、卑劣ないたし方。そちも織田家の一方の将、木下藤吉郎というほどの者ならば、さような
奸策
(
かんさく
)
はみずからに恥じたがいい。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“奸策”の意味
《名詞》
他人を貶めるような謀。
(出典:Wiktionary)
奸
漢検1級
部首:⼥
6画
策
常用漢字
小6
部首:⽵
12画
“奸”で始まる語句
奸計
奸智
奸
奸悪
奸賊
奸物
奸佞
奸臣
奸雄
奸譎