女王にょおう)” の例文
新婦の女王にょおうは化粧をされ、服をかえさせられながらも、明るい色のそでの上が涙でどこまでも、れていくのを見ると、姉君も泣いて
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
正面にくぎり正しい、雪白せっぱくかすみを召した山の女王にょおうのましますばかり。見渡す限り海の色。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あたりがこの人の美から放射される光で満ちているような女王にょおうは、花にたとえて桜といってもまだあたらないほどの容色なのである。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
劇壇の女王にょおうは、気色けしきした。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
中宮ちゅうぐうが宇治の女王にょおうとの関係をお知りになって、その姉君であった恋人を失った中納言もあれほどの悲しみを見せていることを思うと
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
劇壇の女王にょおうは、気色けしきした。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いつからというようなことを私議されるのも煩わしく初めの精神と違ってくる、また二条の院の女王にょおうに聞かれても、思い出の山荘から
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
左大臣様は権力にまかせて大騒ぎになるのだけれど、若様がお生まれになってからは女王にょおう様の御寵愛ちょうあいが図抜けてきたのですもの。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
京の女王にょおうに聞かれてもやましくない生活をしているのとは違って、そうなれば誓ってきたことも皆うそにとられるのが恥ずかしいと思って
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)
かおる女王にょおうのいずれもが劣らぬ妍麗けんれいさの備わったその一人と平淡な話ばかりしたままで別れて行くのを飽き足らぬここちもしたのであった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
まあえんな方らしい御挨拶である、女王にょおうさんがもう少し大人になっているように、お客様は勘違いをしていられるのではないか
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
道理なこととは思いながらもかねて思ったとおりの寂しい日の来始めたことに女王にょおうは悲しまれたが、表面は冷静に以前のとおりにしていた。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
「もう戸をおろしておしまいなさい。こわいような夜だから、私が宿直とのいの男になりましょう。女房方は皆女王にょおうさんの室へ来ていらっしゃい」
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
明石は紫の女王にょおうなどが対へ帰ったあとの静かな夕方に、姫君のそばへ来て、文書のはいったじんの木箱を見せ、入道のことを語るのであった。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
出家のお志は十分にお持ちになるのでございますが、最初は奥様へのお思いやりで躊躇ちゅうちょなされましたし、今日になってはまた哀れな女王にょおうがたを
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
女王にょおうは望みをかけて来たことの事実になったことはうれしかったが、りっぱな姿の源氏に見られる自分を恥ずかしく思った。
源氏物語:15 蓬生 (新字新仮名) / 紫式部(著)
二条の院の女王にょおうは起き上がることもできないほどの衝撃を受けたのである。こがれて泣く女王を女房たちはなだめかねて心細い思いをしていた。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
朱雀院がそうした考えを持っておいでになるということは女王にょおうの耳にもはいっていたのであるが、そんなことにもなるまい
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
忘れていぬふうを装うのではないかと女王にょおうは疑ってもみたが、人の心は外見にもよく現われてくるものであるから、しばらく見ているうちに
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
私が女王にょおうがたにこの御縁談を取りなして成功させるだけの好意を示すべきであるのに、こちらでは御冷淡な態度をおとり続けになりますので
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
早くから御心配になっていたが、二月ごろからは寝ついてしまうほどにも苦しくなったふうであるのを院も女王にょおうも不安がられないはずもない。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
薫を良人おっととして大姫君のいで立って行くこうした供をする日を期していたにもかかわらず、その女王にょおうくなってしまい
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
若い女房や童女たちの服装も皆きれいにさせてあって、少納言の計らいに敬意が表されるのであった。紫の女王にょおうは美しいふうをしてすわっていた。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
東の院でも仕事を分担して助けていた。花散里はなちるさと夫人と紫の女王にょおうとは同情を互いに持って美しい交際をしているのである。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
と抽象論としてお言いになる言葉を聞いてもお道理至極である、どんなに女王にょおうがたを御心配になっておられるかということが薫にわかるのであった。
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
女王にょおうの了解をお求めになって院はずっと宮の御殿のほうへお泊まりきりになり、朝夕のお稽古けいこの世話をあそばされた。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
女房たちも若いきれいな人たちは姫君付きに分けられて、少しそれより年の多い者ばかりが紫の女王にょおうのそばにいた。
源氏物語:23 初音 (新字新仮名) / 紫式部(著)
きのちの世が不安になったことを紫夫人にお言いになると女王にょおうは顔を赤くして自分があとに残らねばならぬほど
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
またそうにもならず京のどこかへ隠されて妻妾さいしょうの一人として待遇されることができてくれば二条の院の女王にょおうからどんなに不快に思われることであろう。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
紫の女王にょおうのは三種あった中で、梅花香ははなやかで若々しく、その上珍しくえた気の添っているものであった。
源氏物語:32 梅が枝 (新字新仮名) / 紫式部(著)
山荘の姉妹きょうだい女王にょおうはよく何かを合奏しているという話は聞いたが、機会もなくて、宮の有名な琴の御音も自分はまだお聞きすることができないのである
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
源氏は玉鬘たまかずらに対してあらゆる好意を尽くしているのであるが、人知れぬ恋を持つ点で、南の女王にょおうの想像したとおりの不幸な結末を生むのでないかと見えた。
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
末摘花すえつむはな女王にょおうは無視しがたい身分を思って、形式的には非常に尊貴な夫人としてよく取り扱っているのである。
源氏物語:23 初音 (新字新仮名) / 紫式部(著)
宇治の女王にょおうたちの話を、やや誇張も加えてお告げすることによって、宮のお心を煽動してみようと思い、閑暇ひまな日の夕方に兵部卿ひょうぶきょうの宮をおたずねしに行った。
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
女王にょおうはそれをお受けになることは醜いことであるというように言っておいでになったが、求婚者としての言葉が添えられていることであれば辞退もできるが
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
恋しい紫の女王にょおうがいるはずでいてその人の影すらもない。ただ目の前にあるのは淡路あわじの島であった。「あわとはるかに見し月の」などと源氏は口ずさんでいた。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)
いつも御親切に仰せくださいまして、お宮仕えにおいでになりました御非難のお言葉なども、ごもっともだと女王にょおう様は言っておいでになることでございますよ
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
半分は繊細に優しく女王にょおうたちの住居すまいらしく設備しつらわれてあったのを、網代屏風あじろびょうぶというような荒々しい装飾品は皆薫の計らいで御堂の坊のほうへ運ばせてしまい
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
惟光これみつなどばかりの一人二人の供をつれただけである。山手の家はやや遠く離れていた。途中の入り江の月夜の景色けしきが美しい。紫の女王にょおうが源氏の心に恋しかった。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)
去年の秋「心から春待つ園」の挑戦ちょうせん的な歌をお送りになったお返しをするのに適した時期であると紫の女王にょおうも思うし、源氏もそう考えたが、尊貴なお身の上では
源氏物語:24 胡蝶 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そうした煩悶はんもん女王にょおうにさせたことを後悔される思いが胸からあふれ出るようにお感じになるのであった。
源氏物語:42 まぼろし (新字新仮名) / 紫式部(著)
昨日見た女王にょおうよりは劣って見えるが、見ている者が微笑ほほえまれるようなはなやかさは同じほどに思われた。
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「気の毒な、宮様がたいへん大事になすった女王にょおうさんを、そんなすたり者にしてしまおうとするなどとは」
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
この人以上に身にんで恋しく思われた紫の女王にょおうと、せめてこれほどの接触が許されてほのかな声でも聞きうる機会をどんな時にとらえることができるであろうと
源氏物語:30 藤袴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
須磨すまの幽居時代に方々から送られた手紙などもあるうちに、紫の女王にょおうのだけは別に一束になっていた。
源氏物語:42 まぼろし (新字新仮名) / 紫式部(著)
憧憬あこがれをお持ちになるのは東の女王にょおうのほうであったから、花の返事も明瞭めいりょうにあそばしたくないお気持ちがあって、翌朝若君の帰る時に、感激のないただ事のようにして
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
どうなれとお思いになって、捨ててお死にになったのかと女王にょおう様も恨めしゅうございまして、人生に対して片意地になっておりますのも罪の深いことと思われましてね
源氏物語:50 早蕨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
女王にょおうは、自分も源氏もまだ若かった日、源氏が今日のような複雑な係累もなくて、どんなことも若さのとがで済む時代にも、父宮などの希望された源氏との結婚問題を
源氏物語:20 朝顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
三歳ぐらいになっておいでになる三の宮を女一の宮と同じように紫の女王にょおうがお養いしていて、対へお置き申してあるのであるが、大将が行くと走っておいでになって
源氏物語:37 横笛 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あまりに悲しい時は涙がどこかへ行くものらしい。二人の女王にょおうは何も言わずに俯伏うつぶしになっていた。
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)