夢幻ゆめまぼろし)” の例文
我また乞ひて默示をえ、夢幻ゆめまぼろしの中にこれをもて彼を呼戻さんとせしも益なかりき、彼これに心をとめざりければなり 一三三—一三五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
夢幻ゆめまぼろしともわかぬに、心をしずめ、眼をさだめて見たる、片手はわれに枕させたまいし元のまま柔かに力なげに蒲団のうえに垂れたまえり。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ただうみに一そう漁船ぎょせんもなく、またおかに一けん人家じんかえないのが現世げんせちがっているてんで、それがめになにやら全体ぜんたい景色けしき夢幻ゆめまぼろしちかかんじをあたえました。
たとひ三百歳のよはひを保ち、楽しみ身に余ると云ふとも、未来永々の果しなき楽しみに比ぶれば、夢幻ゆめまぼろしの如し。
奉教人の死 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
餘りの事に左右とかうの考も出でず、夢幻ゆめまぼろしの思ひして身を小机こづくゑに打ち伏せば、『可惜あたら武士ものゝふに世を捨てさせし』と怨むが如く、嘲けるが如き聲、何處いづこよりともなく我が耳にひゞきて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
何者が御身の行状を咎め立てすることができようか? 何者が御身が夢幻ゆめまぼろしのように時を送ったことを責めたり、御身の尽きざる精力の溢れ出たものにほかならぬあの行為を非難したりするか?
「人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻ゆめまぼろしの如く也」
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
人間五十年、化転けてんの内をくらぶれば、夢幻ゆめまぼろしの如くなり
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
夢幻ゆめまぼろしの生の真実。
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
夢幻ゆめまぼろしの如くなり
織田信長 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
夢幻ゆめまぼろしともわかぬに、心をしづめ、眼をさだめて見たる、片手はわれに枕させたまひし元のままやわらかに力なげに蒲団ふとんのうへに垂れたまへり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今わが日々ひびはすべて夢幻ゆめまぼろしにして
……夢幻ゆめまぼろしのやうに言托ことづけたのまれて、さいしるし受取うけとつたは、さて此方衆こなたしゆつてのとほりだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)