外科げくわ)” の例文
「これはいけない、外科げくわの手に掛けるまでもあるまいよ、——可哀想にこの若さで、——まア、三人目を出さない用心が大事ぢや」
しかるに醫學博士いがくはかせにして、外科げくわ專門家せんもんかなるかれちゝは、斷乎だんことしてかれ志望しばうこばみ、かれにして司祭しさいとなつたあかつきは、とはみとめぬとまで云張いひはつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
扨寶珠花屋八五郎は後藤の出行しのち早々さう/\下男の彌助にいひつけまづ燒酎せうちう鷄卵たまご白木綿等しろもめんとう買調かひとゝのへ夫より外科げくわへ怪我人ある趣き申つかはし招きけるに醫師いしは幸ひ在宿ざいしゆくなればとて彌助に藥籠やくろう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
外科げくわなんとにやあ、鬢付びんつけみづらしてひやりときずにつけるくらゐところ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その樣子を見て居た平次は、何を思ひ付いたか、手當てが濟んで歸り支度をして居る外科げくわと何やら囁き交して
山脇やまわきと改ため以前の如く外科げくわを業とすれども南都とちがひ新規しんきの場所故何事も思はしからず漸々にほそけふりを立居たるに或日家内の者愛宕あたごへ參りける留宅るす盜人ぬすびと押入おしいり賣殘うりのこりし少しの道具を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
板の間を二つ三つ過ぎると、奧には疊の部屋が唐紙で仕切つて幾つかつらなり、その一番奧、南陽みなみの當る八疊に、内儀のお照は外科げくわの手當てを受けて居るのでした。
したゝはら掻切かききつうせたりけり是庄左衞門が非道の行ひによつて老體のちゝかく成行なりゆきしは庄左衞門が不義の手に掛りしも同じ事なりかくのち庄左衞門はしばら田舍ゐなか潜居かくれゐ外科げくわならおぼえ兩三年立て妻子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「親分、まだ外科げくわが居るさうです。早く見て置いて下さい」
「それぢや外科げくわへ行くがいゝ。親分の畠ぢやねえ」