いま)” の例文
然れども大倭おほやまとの國に、吾二人にましてたけき男はいましけり。ここを以ちて吾、御名を獻らむ。今よ後一一倭建やまとたけるの御子一二と稱へまをさむ
かれ、その猨田毘古さるたひこの神、阿邪訶あざかいませる時にすなどりして、ヒラブ貝にその手をひ合されて海塩うしおおぼれたまひき。
言ひつつも後こそ知らめとのしくも佐夫志サブシけめやも君いまさずして (巻五。八七八)
『さびし』の伝統 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
かけまくもあやかしこき、いはまくも穴に尊き、広幡ひろはた八幡やはた御神みかみ、此浦の行幸いでましの宮に、八百日日やおかびはありといへども、八月はつきの今日を足日たるひと、行幸して遊びいませば、神主かみぬしは御前に立ちて、幣帛みてぐらを捧げつかふれ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
柏木に葉守の神はいますとも人らすべき宿のこずゑ
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
その略にいわく、昔釈迦如来天竺てんじくの大国の王と生まれていましし時、隣国舅氏国飢渇してほとんど餓死に及べり。
伏しておもふに皇帝陛下、一を得て光宅くわうたくし、三に通じて亭育ていいくしたまふ。紫宸にいまして徳は馬のつめの極まるところにかがふり、玄扈げんこいまして化は船のいたるところを照したまふ。
大王嶺の木の子を拾いにましましたる間に、この梵士后を盗んで失せぬ。大王還って見たもうに后のいませざりければ山深く尋ね入りたもう。道に大なる鳥あり、二つの羽折って既に死門に入る。